創作

□嗤う脳ミソ
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『今日私は死ぬわ』

『は?何、ネタ?』

『今日私は死ぬわ』

『うわっ!二回言ったよこの人』

『今日私は死ぬわ。はい、これで二度あることは三度あることが実証されたわね』

『んな怒んなって。でもなんでいきなり自殺?』

『あなたは私の生死に対して興味はないでしょう?』

『知らないのかい?世の中には社交辞令という言葉が氾濫しているんだよ』

『やりたい放題のあなたが世間の常識を自身の生き方に取り入れているとは知らなかったわ』

『うっせ。俺のことより今はお前のことだろ』

『・・・・・・生きているといろんな事を選ばなくてはいけなくなるわ。衣食住から始まり、思考や思想も自分で考えたように思っていても数ある中から一番自分の好みに合うものを選んで足して引いてはまた足して――結局は誰かの考えの模倣に過ぎないわ。だからってそれを咎めるつもりはないの。選択はとてもとても自然なことだから。なら死に方だって好きなものを選んだっていいじゃないの』

『それでお前は自殺を選ぶ、と』

『えぇそうよ。偶然の突然の死でもなく、他殺なんてもっての他』

『でも何かを選ぶときにはそれを選んだ理由が生じるだろ?それは?』

『嫌なのよ。いつか死ぬということが解っていながらそのいつかが解らないことが。解らないのなら今すぐ死にたい』

『なんつ―かあれだ、お前さんは怖がりなんだね』

『否定はしないわ』

『かぁ〜わい〜』

『否定するわ』

『それじゃあ君は人殺しになるんだね』

『人は人でも自分を殺すだけよ。誰にとやかく言われたくないわ。だいたい他人を殺したいとか言っている奴は自分の首でも絞めてればいいのよ』

『それ、俺に言ってる?』

『言語理解がある人は大好きよ』

『止めね―よ、俺』

『分かっているわ。だから貴方に話したの。遺書を書く気はないから貴方が自殺って証言しておいて頂戴』

『はぁ!?嫌だね、面倒くせぇ。遺書書いてから死ねよ』

『自分が死んで何も手を出すことが出来なくなったこの世に自分の意思が残るだなんて耐えられない』

『ふ―ん。俺には解らんね』

『当たり前よ。貴方の脳と私の脳は違うんだから。みんなそれぞれ、違うんだから』

『君の脳みそ、見てみたいね』

『それじゃあご機嫌よう』

『俺の口説き文句は無視かよっっ!』

『何にも聞こえません』


『聞こえてんじゃね―か!テメェ絶対地獄行きだな』

『あなたもね』

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