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□友情考察
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友情マンは友達に優先順位を付けたりしない。

一番も二番も、親友も知り合いも、クレッシェンドも越えられない壁も、友情マンの友情関係には存在しない。

みんな、同じ、『友達』。

無論、助けてもらうために友達を呼び出す時には、その解決に合う合わないのスペックによる優劣差異は生じるが、それは勘定であり、感情ではない。

友情マンには特別好きも、特段嫌いもなく、みんな同じ『友達』なのだ。


――と、一匹狼マンは知り、それは耐えがたき美しさだと思った。

だから。

だから?


頭がガンガンするガル。

手がジンジンするガル。


「・・・・・・ガル?」

目を開けるとそこはベッド。
どうやら寝ている間に腕に変な圧力をかけてしまっていたらしい。

一匹狼マンは、寝起きでまだあまり働かない頭でそう解釈しながら、ぼんやりと首を横に向けた。

「カーテン、引き忘れてるガル・・・・・・」

窓から見える外は真っ黒だった。

そして、一匹狼マンは隣で眠る友情マンを見下ろしながら、またうつらうつらと夢の中へと戻って行った。


***


「友情マン」

「ん?なんだい?」

一匹狼マンに呼ばれた友情マンは、アドレス帳から顔を上げ後ろを見遣った。

そこにはいつも通り一匹狼マンが居て、だけど、いつもとは違う雰囲気で。妙にそわそわしながら、アドレス帳と友情マンを交互に見ている。

「どうしんたんだい?一匹狼マン」

友情マンが一匹狼マンの様子を不思議に思って尋ねると、一匹狼マンは不安そうに口を開いた。

「・・・・・・っ友情マンは、友達が何人いるガルか?」

友達の、数?

何を言うかと思えばと、友情マンは苦笑する。

「えーとねぇ、前にもラッキーネットワークで答えたけれど、星の数ほどいるよ?」

「じゃ、じゃあその中に親友とか、一番の友達もいるガルか?」

「ははっ。みんな私の大切な友達だから、順位なんてないよ」

「ガル・・・・・・」

その答えを聞いて、一匹狼マンは微かに顔を綻ばせた――が、長くは続かなかった。

「一匹狼マン、私は友達を大切にする男だよ?
そんな私が友達に区別や区分をつけるはずないじゃないか。
平等と言うより同等、横並びではなく同位置、私はみんなに同じ量の友愛を抱いているよ」

「・・・・・・みんな同じガル?」

一匹狼マンはふと、違和感に気付いて首を傾げた。

「みんな違うのにみんな同じガルか?」

「ああ」

「なら、昨日友達になった奴も、十年友達の奴も、みんな同じ『友達』ガルか?」

「ああ」

友情マンはにっこりと微笑み、

「みんな、同じだよ」

と、言い切った。


友情マンは笑って、一匹狼マンは笑わなかった。
笑えなかった。

友情マンには特別好きも、特段嫌いもなく、みんな同じ『友達』なのだ。

――と。

一匹狼マンは知り、それは耐えがたき美しさだと思った。


***


朝が来て、一匹狼マンは目を覚ます。

朝が来ても、友情マンは目を覚まさない。



終わり

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