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□はじめてのおるすばん
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宇宙人の男の子が一人で留守番をしていると、家のチャイムがなりました。
サンドバックを殴るのを止め時計を見ても、まだ、仕事に行った父親と買い物に出かけた母親が帰ってくるには早い時間です。
「誰だってんだ。めんどくせーな」
ドアののぞき穴には背が届かないので、外に誰がいるかわかりません。
それでも男の子は怖いもの知らず。
ガチャリとドアを開けてしまいました。
「こんにちは坊や」
外にいたのは初めて見る中年の宇宙人でした。
「申し訳ないが、トイレを貸してくれないかい?もう漏れそうで漏れそうで限界なんだ」
中年の宇宙人はトイレを我慢しているようで、男の子に手を合わせてお願いしました。
「ここで漏らしたら殺す」
男の子は中年の宇宙人を家に入れてあげました。
***
「ありがとう。本当に助かったよ」
トイレで用を終えた中年の宇宙人が、立て膝をつき、男の子の頭を撫でながら言いました。
「触んな。終わったんならさっさと出てけよ」
「生意気なところもかわいいねえ。
ああそうだ。トイレを貸してくれたお礼に、一緒に遊んであげるね。
お医者さんごっこなんてどうかな?」
頭を撫でていた手は肌にそって頬、肩、腕へと遠慮なく伸びていき、息も荒くなっていきます。
中年の宇宙人は、変質者だったのです。
「ふーん。そういうことなら、ボクが医者役な」
男の子は背中の凶器入れから注射を出し、何の躊躇もなくぶすりと変質者に刺しました。
「え?」
まさかただの子供にそんなことをされるとは思ってもいなかった変質者は驚きました。
そして、そのまま深い深い眠りに落ちていきました。
***
内臓や腸が口の中からずり落ちてきそうな不快感で、気持ち悪くて仕方ありません。
変質者が目を覚ますと、足に鎖を巻かれ、逆さまに吊されていました。
両手もがっちりと後ろに縛りあげられていて、自由になりそうにありません。
変質者は命乞いを始めました。
助けてください。
逆さまの部屋。
逆さまの男の子。
頭に血がのぼる。
くらくらとする視界。
助けてください。
助けてください。
男の子は変質者の言葉を無視し、自分の両手を見せました。
「ボク、これをつけてサンドバック使うから、すぐダメになっちまうんだ」
その両手には、棘のついたナックルがはめられていました。
助けてください。
助けてください。
「――さてと」
男の子はかまえました。
「お医者さんごっこの次はボクシングごっこだ」
――――――――――――
宇宙人の男の子が一人で留守番をしていると、家のチャイムがなりました。
ちょっと待ってねと、電話の相手に伝えて時計を見たものの、まだ、仕事に行った父親と買い物に行った母親と競馬に行った兄が帰ってくるには早い時間です。
「誰だろう。私の友達かな?」
ドアののぞき穴には背が届かないので、外に誰がいるかわかりません。
それでも男の子は来る者拒まず。
ガチャリとドアを開けてしまいました。
「こんにちは坊や」
外にいたのは初めて見る中年の宇宙人でした。
「申し訳ないが、トイレを貸してくれないかい?もう漏れそうで漏れそうで限界なんだ」
中年の宇宙人はトイレを我慢しているようで、男の子に手を合わせてお願いしました。
「それじゃあ少し待っててください。今電話の最中なので、切ってきます」
男の子は一旦ドアを閉め、電話先の友達と少し話をしてから電話を切りました。そして、あらためて中年の宇宙人を家に入れてあげました。
***
「ありがとう。本当に助かったよ」
トイレで用を終えた中年の宇宙人が、立て膝をつき、男の子の頭を撫でながら言いました。
「ふふふ。友達のためだもの。気にしないで」
「僕たちはもう友達なのかい?君は人なつっこくてかわいいねえ。
ああそうだ。トイレを貸してくれたお礼に、一緒に遊んであげるね。
お医者さんごっこなんてどうかな?」
頭を撫でていた手は肌にそって頬、肩、腕へと遠慮なく伸びていき、息も荒くなっていきます。
中年の宇宙人は、変質者だったのです。
「お医者さんごっこより、警察ごっこの方がいいなあ」
男の子は変質者の手も気にせず楽しげに言いました。
「じゃあ何か悪い物を持っていないか身体検査だ」
変質者は男の子のお腹をいやらしくまさぐり始めました。
くすぐったそうに身をよじる男の子。くすくすと笑い、変質者の耳元にこう囁きました。
「勘違いしないでよ。あなたは警官役じゃない、加害者役だ」
「え?」
変質者の声にかぶせるように、部屋のドアが開きました。
「警察だ!そこを動くな!」
変質者は本物の警察官に、現行犯で捕まりました。
***
「もしかしたらと思って、来てもらったけど、やっぱり噂の変質者だったね」
噂をすれば影とはこのことだな。と、警官は苦笑しました。「まさか変質者が出没しているって電話の最中に来るとはな」
「まあなんにせよ、捕まってよかったよ。君のお手柄だね」
「友情マンが電話で教えてくれたし、それに何より囮になってくれたからだよ。ありがとう」
「ふふふ。友達のためだもの。気にしないで」
男の子は艶やかに微笑みました。
――――――――――――
宇宙人の男の子が一人で留守番をしていると、家のチャイムがなりました。
掃除機をかけるのを止め時計を見ても、まだ、仕事に行った兄達が帰ってくるには早い時間です。
「誰かなあ。兄ちゃん達の知り合いかなあ」
ドアののぞき穴には背が届かないので、外に誰がいるかわかりません。
それでも男の子はお人好し。
ガチャリとドアを開けてしまいました。
「こんにちは坊や」
外にいたのは初めて見る中年の宇宙人でした。
「申し訳ないが、トイレを貸してくれないかい?もう漏れそうで漏れそうで限界なんだ」
中年の宇宙人はトイレを我慢しているようで、男の子に手を合わせてお願いしました。
「それは大変ですね!どうぞ家のトイレでよければ使ってください」
男の子は中年の宇宙人を家に入れてあげました。
***
「ありがとう。本当に助かったよ」
トイレで用を終えた中年の宇宙人が、立て膝をつき、男の子の頭を撫でながら言いました。
「いえいえ、とんでもありません」
「君は礼儀正しくてかわいいねえ。
ああそうだ。トイレを貸してくれたお礼に、一緒に遊んであげるね。
お医者さんごっこなんてどうかな?」
頭を撫でていた手は肌にそって頬、肩、腕へと遠慮なく伸びていき、息も荒くなっていきます。
中年の宇宙人は、変質者だったのです。
「僕は遊べません。まだやることがありますから」
男の子は変質者の手に疑いを持つことなく、はきはきと答えました。
「まだ掃除と洗濯が終わっていないのです」
男の子は質者の手をするりと抜けると、掃除機の横に立ちました。
「君が家事をしているの?偉いねえ」
「偉いだなんて、褒められるようなことではありませんよ」
男の子は照れました。
そして、「あ、そうだ!」と、両手を合わせて言いました。
「もしも時間があるのなら、僕がさっき作った餃子を食べてみませんか?」
「え?」
「今持ってきますね!座って待っていてください」
変質者の答えも待たず、男の子は元気よく台所へと消えました。
「手作り餃子か・・・・・・。襲うのはそれを食ってからでもまあいいか」
変質者はひとりごちるとテーブルに座りました。
***
「はいどうぞ」
出された餃子はほかほかと湯気を放ち、とてもおいしそうに見えました。
「僕の兄ちゃんは、この餃子がすごく好きなんです。いつもうまいうまいって食べてくれて――それが嬉しくて、僕もついうっかり作り過ぎてしまうんです。
なので、たくさんあるので、遠慮なくどんどん食べてくださいね」
変質者は最後まで話を聞くことはできませんでした。
ガンと派手な音がし、男の子がテーブルを見ると、餃子の入った皿に変質者が頭突きをするように気絶していました。
終わり
あとがき↓
原作で幼少勝利がボクっこで驚きました(´ω`)
一人称:俺になったのは、個人的に三本柱マンが死んだあとかなあと妄想。
幼少友情の一人称は分からなかったので今の通り私にしました。
しかし友情って人や場合によってころころ変えてそう(´ω`)
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