裏系はR18でお願いします(´∀`)

□二次の二次
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※『追手内家+努力』の二次で、夏祭りにブラコン勝利が居たらっていうものです。

***

勝利兄さんがトイレに行くのを見計らい、私は前もって用意しておいた書き置きをテーブルの上に設置する。
それから、音を立てないよう細心の注意を払い、玄関に向かい、ドアを開け――

「よう友情。どこ行くんだ?」

「・・・・・・・・・・・・」

外には、勝ち誇った顔の勝利兄さんが立っていた。

バタン。

「って閉めんなよ!」

勝利兄さんの声に、私は一度閉めたドアをしぶしぶ開ける。

「・・・・・・トイレは?」

「お前、朝から俺の行動を注視してたろ」

婉曲な答え。
だが、それで充分。

「あーあ」

思わず呟きがもれる。

「どうやら、釣られちゃったみたいだね」

「俺を出し抜こうなんざ一生早ぇよ」

「一生って」

私は軽く笑う。
そりゃまた大胆な発言だ。
でも、大袈裟ではない。
私は勝利兄さんの言葉を素直に飲め込める。
この先どれだけ生きたとしても、一生を費やしたとしても、私は勝利兄さんに追い抜くどころか、追い付くことさえできないだろう。
改めて、そう思う。

「――さて」

場を仕切り直すように。一歩、勝利兄さんが私に歩み寄ってきた。

「それじゃあ――何を俺に隠していたのか教えて貰おうか?」

怒りではなく、愉悦に満ちたその表情。余裕たっぷりといったところか。
追い詰められている私が言うのもなんだけど、勝利兄さんのこういう顔が、好きだった。
だから、

「テーブルに書き置きを残してきてあるんだけど」

諦めたとはいえ、進んで口にしたくはなかった。
この顔を、目の前で崩したくはなかった。

「わざわざ見に行けってか?面倒くせえ。
直接お前の口から聞かせろや」

一蹴された。

「・・・・・・そう」

この場しのぎの誤魔化しもきかないだろう。
私は、ふうっと、息をはき、白状する。

「・・・・・・地球の友達に、夏祭りに誘われてるんだ」

地球という単語で、勝利兄さんの肩が微かに跳ねた。

「そうか・・・・・・。んなこと隠す必要ねえじゃねえか。あーもしかして女か?」

勝利兄さんはからからと笑い、私の肩をバシバシと叩いた。

「無理しないでよ」

生まれた時から勝利兄さんを見てきたんだ。
作り笑いかどうかなんて、すぐに解る。

「そういう顔を、させたくなかったんだよ」

私はもくろみが失敗したことで脱力してしまい、ふにゃりとした笑みを浮かべて言った。

「ああ?生まれてこの方ずぅっーとこの顔の俺に、喧嘩売ってんのか?」

勝利兄さんは、何と言うこともない口調で続ける。

「じゃあ気を付けて行ってこい。俺はパチってくるわ」

「待ってよ勝利兄さん!」

ハンドルを回すジェスチャーをする勝利兄さんを慌てて引き止め、

「努力に会いたいなら、我慢せずに地球に行きなよ」

と、私は叫んでいた。

地球や努力という言葉を聞くと、辛そうにする勝利兄さん。
だから、あえてその単語を避けて生活をしてきたけれど、これをきっかけに、努力に会うよう説得しようと思い直したのだ。

「寝言で努力の名前を呼んだり、遠い目をして空を見上げたり――メルヘンチックな勝利兄さんは性に合わないよ!」

っていうか、気持ち悪い。
しかし、勝利兄さんは首を縦に振らない。

「あいつが自分一人の力で頑張るって言ったんだ。そして俺はその言葉を信じてる。
だから、もしここで会いに行ったら――努力を信じなかったことになる」

「もう!毎日会いに行くってわけじゃないんだし、一日くらい会ったって良いと思うよ?
地球にだって、お盆に帰省っていう習慣があるんだし」

その場合に当てはめるのなら、本来、努力がこっちに来るべきだが。
まあ細かいことはこの際無視だ。

「努力だって、たった一日会いに来た程度で信用されてないだなんて思わないよ。むしろ喜ぶよ」

「そ、そうか?」

勝利兄さんは喜ぶという言葉に反応した。
あともう一押しだ。

「努力に会えないストレスだって、もうずいぶん溜ってるでしょ?」

「まあ・・・・・・な。一応ヒーロー道場で発散してっけど」

今度、ヒーロー道場の皆さんに菓子折りを持っていこう。

「ね、勝利兄さん。努力を誘って、夏祭りに行ってきなよ。夏祭りって口実なら、信用問題なんて関係ないし」

私は兄のためだけでなく、ヒーロー道場のみんなのためにも力を込めて言った。

「・・・・・・そうだな・・・・・・」

勝利兄さんは一旦口を閉じて、目を細める。
そして、

「よし!じゃあ俺も地球に行ってくっかな」

と。

「勝利兄さん・・・・・・」

勝利兄さんはガハハと豪快に笑い、鼻を掻いた。

***

――さてと。

私にできることは、ここまでだ。

「・・・・・・いや、もう一つあったか・・・・・・」

私は勝利兄さんが飛んで行った空を見上げ、洋一の無事をゆるく祈った。

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