CP小説

□SINK
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雲に届くんじゃないかってくらい高くそびえ建つ摩天楼や何のためにかわからないけど忙しく行き交う人間たちとか、そこら中にあるもの全てを紅く染めて



太陽が沈む。


藍染さまには内緒で現世に来ていたボクと6番さんはちょうどそんな時間帯に出くわした。
其処らのものたちと同じように夕日に照らされて真っ赤に輝くお互いの体を少しばかりぎこちなく寄せあって虚圏では絶対に見ることのできないそれを目に焼き付けるように見つめていた。


その場所は、確か学校と言ったらしい。その屋上で、あいつは組んだ腕を気怠そうに手すりに乗っけて、ボクは手すりから身を乗り出すようにして、2人して柄にもなく夕日に目を奪われていたんだ。
感傷に浸る、なんて言葉はからからに乾いた砂漠のように無味乾燥で殺伐としてるボクらにはこれっぽっちも似合いもしないのに。


屋上からは砂を集めた、だだっ広い広場みたいなものがすぐ下に見えた。

虚圏の果てしない砂漠に慣れてるボクには、だけど、ちっぽけなものにしか思えなかった。
無限に広がる砂ばかりの地、立ったまま枯れて石になっている木。生き物なんて何一ついない。そんな不毛の地。
あれを人間が見たら、どう思うんだろう。



「オイ、落ちんぞ」

手すりから身を乗り出した格好のまま下を覗いていたからか、グリムジョーはボクの首根っこを乱暴に掴んで屋上に引き戻した。同時に虚圏に飛んでいたボクの意識もこっちの世界に引き戻される。
改めて空を見ると真っ赤に染まった雲の端から少しだけ覗く太陽に目がくらんだ。


「…大丈夫だよ。別に落ちたって平気なんだから」

「あァそうかよ」

グリムジョーの横顔を見たとき、ありがとうと言うべきだったのかとちらりと思ったけどすぐにどうだっていいと思い直した。そんなこと、こいつだって気にしてやいないはずだ。



それから長い沈黙が続いて、黙っておくのが好きじゃない(ていうか得意じゃない)ボクは口を開く。
けど、口に出そうとした言葉はしだいに澄んでいく空気に溶けていってしまった。

発する言葉をなくした口からはふ、と溜め息のような吐息がもれただけだった。


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