御話
□猛将の涙
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「なァおい、こんな話しはどうでい?」
「こんな話したァどんな話しだよ治助の旦那ァ」
「ちょいと小粋な『漢泣き』の話しさね」
「旦那ァ、そいつァ良くある゛あの手゛の話しでござんしょ?こりゃここらでしまいだな、よっこらせっ!」
「ちょいとちょいと!待ちない弥平さんよ、まま座んな座んな」
「旦那ァあっしの耳にたこでもこしらえてくれんのかえ、あァ嬉しいこった」
「そう邪険にすんなよ、退屈はさせねェから」
「あァりやしたよ、聞きますよ、聞きゃァ良いんでしょ聞きゃァ」
「イヤな、その漢ッてのァな、お上さんなのよ、そりゃァ勿論あんたも知ってるぜ」
「あれェ、そらァ初耳だわ、有名かい?」
「有名も有名、知らねェ奴ァいねェやな」
「して誰だい、そのお上たァよォ」
「聞きゃすぐに判るさね・・・」
「時は戦国
世は混沌に包まれ戦の鬼どもは血で血を洗うておった
そんな頃、此処にもまた鬼が集まっておった。
片やは龍と云われ、もう片やは虎と云われたツワモノ
これはその武神とうたわれた龍が如しオトコと虎が如し男の話し
続