小説【その他(TOA/P.H...)】
□聖なる焔 罪と嫌悪と後悔と【TOA】
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「……本当に私を見捨てるんですね!ならば……ならば私も本気で行きますよ!レプリカ共と一緒に滅びるがいいっ!!」
そう言って彼が攻撃してきたときは、ただ負けないように気を引き締めて自分の得物をギュッと握りしめただけだったのに……
『聖なる焔 罪と嫌悪と後悔と』
「ネビリム先生……今、そちらに向かいます……!」
今にも倒れそうな、しかし眼だけは爛欄と、ある意味狂気に満ちた光りを輝かせてディストが静かに言う。
その直後、彼はがくりと崩れるように倒れ込むと、手を大きく振りかざして自爆ボタンを押した。
「させるかぁっ!!!」
だから、俺はすぐに手に力を溜めて。ディストの目の前にそれを当てて……。
そして、見て…しまった……
いつもの高飛車な様子など微塵もなく、全く害の無い、大勢の人を殺してきたとは思えないような無邪気で清純な、儚い笑みを。
おそらく仲間の誰も見てはいないだろう。彼の顔は完全に下を向いており、真下にいる俺にしかその表情は見えないはずだ。
紅が強いと思っていた瞳は逆光の為か紫に見え、まるでアメジストのように透き通った優しい光が滲み出ていた。
信じられないというように俺が見ていると、彼はそれに気がついたのか、合っていなかった眼の焦点を俺にむけてくれた。
いつもの傲慢な笑みではなくて、本当に儚い優しい笑みで……
声は聞いていない。
ただ、その唇の微かな動きで、彼の言った言葉が、何故だかその時は簡単にわかってしまった。
『ありが、とう……』
「!?」
身体に電気が走るような衝撃を受ける。
(嫌だ……)
手から、足から全てがガタガタと震えだす。
(いやだ…!)
しかし一旦溜めた力は押し戻すことなど出来なくて…
そしてまた、聖なる焔は罪を被り身を削る
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