一発芸2
□雲雀
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放課後、いつものように迎えにやってきた弟。
しかしわたしがバイクにまたがり、さあ帰ろうとした矢先、そのケータイは鳴った。
「……何?」
ものすごーく不機嫌そうな声で応答する弟(相手が可哀相だ…用件があってかけてるはずなのに…!)
しばらくの間、相手の話を聞きながら「うん」としか相づちをうたなかったけど、最後の最後に、
「………………わかったよ」
弟はため息をついて、通話を切った。
そしてわたしを振り返る。
「ごめん、姉さん。ここに来る前に狩った奴らが、まだあがいてるらしいから、とどめさしてくる。ここで待ってて」
「あ、うん、わかった。気をつけてね!」
とどめってなんだ。まさか殺すことじゃないよね? 違うよね?!
しかし今 最高にバッドムードを漂わせている弟には、何を言っても通じない。わたしは素直に頷き、手のひらを振って走り出すバイクを見送ったのだった。
「さーて…。友達はみんな帰っちゃったし…」
独り言を聞かれないうちに、図書室にやってくる。
たまに図書委員の子が普通のファッション雑誌なんかをコーナーに置いてくれるので、それが目当てだったりする。
部活に所属している人は勿論、帰宅部の人はほとんどがまっすぐ家に帰る。そのため図書室で動くのは、図書委員一名と女生徒一名のみだった。全く知り合いではないので、雑誌を手に取り、奥の席へ腰掛ける。鞄をテーブルの上に置いて、早速ページをめくった。
『都市伝説! ドッペルゲンガーは本当にいた!!』
いや、これファッション雑誌だからね。