モラル

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 いつきちゃんと出会っていろいろあって、それから数ヶ月後。わたしは毎日、政宗さんにアタックし続けています。


「政宗さん、おはようございます! 今日はいい天気ですね」
「曇り空のどこがいい天気なんだ。You are stupid.(アンタ馬鹿だな)」
「わ、わたしは快晴よりも曇りのほうが好きなんです」
「誰も天気の好みなんか聞いちゃいねーよ」


 見事に冷たく返されますが、わたし負けない! このしつこさが唯一のとりえですから(なんか悲しいなこれ) でも結局は 政宗さんにそこまで嫌われていないと思うんだけどなー。だいたい、嫌われてたら部屋にさえ入れてもらえないだろうし。そうポジティブに考えると、


「名無しさん、そのニヤけた顔 シャキッとさせろ。見てて腹が立つ」
「すいませんでした!」


 その時、「筆頭!!」と声がした。廊下からドタドタとやってきた、政宗さんの子分が現れる。頭を下げながら、その子分は言った。


「甲斐の虎が、この米沢城に向かってるらしいですぜ!」
「虎ァ? 何しに来やがったんだ?」
「政宗さん政宗さん! 甲斐の虎って、もしかして武田信玄ですか?!」
「それ以外に誰がいんだよ」


 まだ奥州を出たことがないわたしは、自分が持っている限りの知識を思い出す。武田信玄といえば、上杉謙信と互角の男で、なんか強いんだよね。それから・・・・・・・・・と考えていた思考は、突然停止した。政宗さんに手をつかまれ、「さっさと立て」と言われたのだ。うぎゃああ手を!!


「まっ政宗さん! 大好きです!」
「んなくだらねェこと言ってねーで、さっさと自室に戻りな」
「(ガーーン!!) ・・・は、はい・・・」
「・・・・・・(筆頭も素直じゃねえなァ)」


 告白を くだらない呼ばわりされつつ、従順するわたし。でも、政宗さんはわたしが自室に入るとは思ってないのか、部屋まで着いてきた。その間手は握られたままで、わたしはドキドキしながら政宗さんを見る。やばいよねこれ、心臓が爆発しちゃうって! そんな暴走人間を置いて、「しばらくジッとしとけ」と命じて、政宗さんはさっさと帰っていった。冷たいよ政宗さん・・・!


「ち、ちくしょう・・・! 政宗さんのバーカ」
「Ah?!」
「ぎゃああああああなななんでもないですうう!!(つーか聞こえてるの?!)」


 政宗さんの地獄耳は、伊達じゃないぜ・・・!









でもやっぱり、幸せですわ。
色々アホなことやってみようかと思います。

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