過去拍手小話

□2009勲誕生日小話集
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『Happpy Birthday 130 〜万事屋編〜』




「銀さん頼まれた物、買って来ましたよ。」

「おう!ご苦労さん。」


昼の買い物を終えた新八が大江戸スーパーの袋からバナナを取り出し、差し出すと
それを素早く受け取った銀時は、房の部分に赤いリボンを巻きつける。

「あれ?何してるんですか。食べないんですか?」

尋ねると、銀時は死んだ魚のような目を細めニンマリと怪しい笑みを浮かべた。

「ふっふっふっ。これは鯛を釣る為のエサなんだよ。いいか、ぱっつぁんよ!
今日9月4日は、なんと真選組のゴリラの誕生日っ!
あの大将を無駄に愛しまくってる税金ドロボウ達の事だ、今日は屯所に必ず大量のご馳走とケーキが用意されてるハズっ!」

力こぶしを作って意気込む上司に眼鏡の少年は、ハァと短いため息をついた。

「…飽きれた。アンタ誕生日の人んちで何たかろうとしてるんですか。
だいたい特売のバナナ一房持って行って、ご馳走食べようなんて浅まし過ぎますよ。
土方さんあたりに返り討ちにされますよ?」

「大丈夫!今日は夕方まで大串くんは、外回りで帰って来ない!」

「何処情報!?近藤さんの誕生日といい…一体誰から聞いたんですかっ!?」

「この間ジミーを軽く捻りあげたら、喋ったネ。」

ソファの上に胡坐をかいている少女は、新八にそう告げながら
酢コンブの箱に何やらピンクのリボンを結ぼうと四苦八苦している。

「ちょっとぉぉっ!神楽ちゃんもたかりにいく気ぃぃぃっ!
そんな事したら沖田さんと血のバトルだよ!ってかアンタ達もう少し誕生日プレゼント考えたらどうだよっ。
どんだけ安上がりにご馳走喰おうとしてるんだよ!」

「大丈夫だって!お前がコレをあのゴリラに渡してくれりゃ、何の問題もなくご馳走食わしてくれるぜ。あのお人好し。」

コレといって銀時は、新八の姉であるお妙の写真を取り出した。

「おい!こらぁ〜!これ何処で撮ったんですかっ!?こんなの渡したのバレたら僕が姉上にボコボコにされますよ。」


うるさいなと頭をボリボリ掻きならが銀時はダルそうに椅子から立ち上がる。

「神楽そろそろ行くぞ〜。新八お前はどうすんの?行かないんだったら、俺たちだけでご馳走食べちまうぞ〜。」


(…ぜってー、食べれねぇよ。)


と少年は心の中でツッコミを入れる。


「新八行こう!私達がお祝いしたらきっとゴリは、喜んでくれるネ!」

腕を引っ張り純粋そうな瞳を向ける神楽に少し戸惑いながら、新八は天井を仰ぐ。

(確かに…。「おめでとう」って言ったら素直に喜んでくれそうだな、あの人)

近藤のくったくのない笑顔を思い浮かべると、自然と新八の頬は緩んだ。

そして覚悟を決めたようにため息を一つ付いて、神楽と銀時に顔を向ける。


「はいはい。僕も行くよ。行けばいいんでしょ?でも本当に姉上の写真を渡す気はないんですからねっ!」


これから迷惑をかけるであろう二人の代わりに、せめて心からお祝いの言葉を伝えてあげたい…

新八はそう思いながら万事屋の玄関を後にした。



 -END-


(銀さん&神楽ちゃんも近藤さんをお祝いする気はあります。それ以上にご馳走が気になってるけどネ!)
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