過去拍手小話
□談義シリーズ
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『談義』
その日は真選組・局長と一番隊長という組み合わせが江戸の町を巡回していた。
顔には出さないが、唯一敬愛する上司と肩を並べて歩く事は、沖田にとって日常の楽しみの一つである。
「げっ!!」
そんな気分を打ち壊す存在である天敵、万事屋のチャイナ娘が向かい側あら歩いてくるのが見えて、沖田は心底嫌そうな声を出した。
一方、クッチャクッチャと酢コンブをかじりながら神楽はいたって平和そうな顔だ。
散歩中らしく、横には巨大な愛犬、定春がいる。
「酢コンブばっかでよく飽きねぇなァ。」
呆れたようにため息をつく沖田に
「お子様にはこの奥深い味は分からないネ。」
と、神楽は反撃した。
「噛めば噛む程、味が出るアル、酢コンブは。」
「てめぇの酢コンブ談義なんて興味ねぇやィ。」
「こらこら、総悟!チャイナさんとケンカしちゃダメだぞ!
はいはい、見回りの続きするぞ〜!またね、チャイナさん。」
二人のやり取りを眺めていた近藤が口を挟み、さっさと歩を進めた。
沖田は慌てて、それについて行く。
その後ろ姿を見て神楽は
「お前もゴリラゴリラってよく飽きないネ!」
そう声をかけた
「ふん。飽きるワケねーだろィ。」
憎々しげに振り向き
「一緒に居れば居るほど、味が出るんでィ、近藤さんは!」
そう呟いてサド王子は、近藤の後をついて行った。
「私もお前のゴリラ談義なんて興味ないアルー!」
そう叫んだ言葉がサド王子に届いたかどうかは分からない。
-END-