過去拍手小話

□談義シリーズ
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『談義2』


曇った空の昼下がり。

屯所の縁側で真選組局長と万事屋のチャイナ娘という珍しい組み合わせが隣り合わせで座っていた。
神楽曰く「散歩の途中、喉が渇いたからわざわざ歌舞伎町の女王が立ち寄ってやった」との事らしい。


「今日は静かアルナ。」

神楽は近藤に出して貰ったオレンジジュースをストローで吸いながら、足をぶらぶらする。

「この時間はみんな見回りに行ってるからな。俺みたいに非番の奴しか残ってねぇんだよ。」

「マヨラーとサド王子は仕事アルか?」

「そう。」

「フン、いい気味アル。」

「はははっ、仲良くしてやってくれよな、チャイナさん。
あの二人は分かりにくいんだけど、本当に優しい奴らだからさ。」

鬼の副長と呼ばれ、何かあればすぐ人に暴力を振るう土方と
街中でバズーカーをぶっ放す、ド王子沖田を「優しい」と呼ぶのは、江戸中探しても近藤位なものだろう。

「トシはさ、自分の事を後回しで真選組の事優先してくれるし、怒りながらだけど俺のフォローきっちりしてくれるんだ。
総悟はさ、オレがバカにされたりすると、自分の事以上に怒ってくれるんだよ。」

それを大人しく聞いていた神楽は、ジュースを飲み終えたコップを横に置き
ヒラリと飛び跳ねると、近藤の両肩に足を跨らせ着地した。

「な、何?チャイナさん。」

少女の唐突の行動と身軽さに近藤が驚きながら尋ねると

「お前のノロケ話なんて聞いてても腹も心も満たされないアル。
もっと聞いて欲しけりゃ、今からコンビニ行って、ありったけの酢コンブ私に献上するヨロシ。」

頭の上から可愛く声と少々辛辣な声が降ってきた。

「ああ、確かに…。今のは、ノロケ話だよな〜。」

と、近藤はあははと笑って満面の笑みを零した。


-END-
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