ボツ集

□【ボツ版】・July ローカルフェスティバル
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 電車に揺られて、もう一時間だろうか。僕らは、ちょっと遠くまでお出かけをしに一塚(いちづか)まで向かっていた。
 今は夏休み。所謂避暑も兼ねている。それだけ、一塚は県の外れにあるからだ。
「で、帰りに花火大会にも寄って、うん、完璧だね」
「どこが完璧なのさ、奏さん…」
 荻上君が何だか溜め息気味だ。まあ、それは僕自身も同じだけど。
 奏ちゃんと二人っきりで花火大会にデートに行こうとしてたのに、まゆらさんの避暑に巻き込まれて、しかもまゆらさんは他のみんなも巻き込んだから、結局全員で行く事になった。
「いや、私は要領が良くていいと思いますよ?」 そりゃそうだけどさ…。さくらさんの言うとおりだよ? 普通ならば。
 しかも、
「少なくとも、トロ君よりは断然だねぇ?」
「お願いですから、先輩は黙ってて下さい…」
「断る。あたしに指図するんじゃない」
「ふぁい…」
 富口君も、先輩に見つかってうなだれている。『お前のものはアタシのもの、アタシのものはアタシのもの』と言わんばかりの高圧的態度。あれでよくOKしたよなぁと言いたいけど、しまった。奏ちゃんもたまに似たり寄ったりだった。さっきからさくらさんの以外の三人で何やら怪しい笑顔(?)で話しているし。波長がガッチリ一致したんだろう。
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