続き物
□20days-last time-
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「ホント。最近、毎日快晴だよなァ。」
カーテンの隙間から入り込む日光により、翔太は目を覚ました。
「もうすぐ…ここともお別れかァ。」
九日後に、俺は退院する。
「奏に昨日言い忘れちゃったなぁ。退院する、なんて言ったら、アイツ寂しがるかな?」
──いや、やっとやかましいのが居なくなるって喜びそうだ…。
アイツはそういうヤツだ…!
俺は…
俺は柄じゃないけど‥‥
ココを出たら少し寂しいかもしれない、と思ってしまった。
ま、退院したってココを訪ねて来ればいつでも会える。
その時はまだ、そう思っていた。
「あー。もう一回寝るかー。」
若干開いていたカーテンを閉め直し日光を遮断すると、翔太は再び眠りについた。
次に翔太が目覚めたのは昼前。
そう、妙な胸騒ぎを感じたから──。
病室の外が、やけに騒がしい。
──何だ、何があったんだ?
翔太はゆっくりと体を起こし、ベッドの横に揃えてあるスリッパをひっかけた。
「翔太くん!」
病室のドアを開けた
とたん、翔太は誰かに呼び掛けられた。
「おばさん!」
振り返った先にいたのは、奏の母親だった。
「翔太くん!!」
彼女はもう一度俺の名前を呼び、こちらに駆けてきて俺の両肩を掴む。
「うちの子を、奏を見かけなかった!?」
奏の母親は酷く動揺しているようで、肩を握る手と声が震えていた。
「奏…は、今日はまだ見てないですけど‥‥。」
そう答えて肩においてある手を優しく握る。
「おばさん、少し落ち着いて。何があったんスか?」
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