小説

□ハートフルスペース
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コンコン…

周囲も完全に寝静まった時間帯。こんな遅くに訪ねてくるとは…面倒だと思いつつも、ロニはベッドから降りて、ドアを少し開ける。

「はいはい、美女なら大歓迎ですよ〜…って、お前…?」

「…ロニ、ぃ…。」

そこには、ボサボサ頭のよく見知っている少年が立っていた。
宿備え付けの寝巻に自室の枕をかかえて…少し潤んだ大きな目は、身長差からロニを見る時はどうしても上目遣いになってしまう。

「…いっしょに、寝ても…イイ?」

「あ、あぁ。いいぜ。」

そんな無防備な姿に面くらいつつも部屋に招き入れ、とりあえずベッドに座らせて水の入ったグラスを渡す。

「これでも飲んどけよ。」

「ありがとう…」

いつもの元気や無鉄砲からはかけ離れている。
疑問に思いながらも、ロニには多少その理由が想像できた。

「そういえばさ、俺達が『旅』に出てから半月くらいは経ったんかな?」

「ぅん…多分。」

「リアラと会ったりジューダスに会ったり…色々あったもんなぁ。」

飲み終えたグラスを受け取ると手近なテーブルへと置く。
自分もカイルの隣に腰掛けると、しみじみと天井を眺めてみる。
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