†Lovё confusion†
□Lovё confusion.
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傷痕
傷なんて無いと思ってた。
思い込もうとしていた。
でもそんな虚勢は脆くも崩れ去り、残されたのは再び開いた傷痕とそこから止めどなく流れる記憶。
記憶は溢れる過程で、混沌とした感情とひきつるような痛みを共に引き連れてわたしに襲いかかる。
大丈夫。
大丈夫。
大丈夫…
たいしたことない。
あんな昔の事。
どうって事ないでしょ?
もう、あの時の無知で馬鹿だったわたしじゃない。
だから大丈夫。
大丈夫。
大丈夫。
呪文を繰り返すように言い聞かせてみても心の揺らぎは増すばかり。
抵抗はやがて力を失い、心が侵蝕されてゆく。
嫌だ。
思い出したくなんか無い。
お願い…
やめて…―
傷痕から溢れ出した記憶がわたしを呑み込んだ。
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