†Lovё confusion†

□Lovё confusion.
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最低最悪な出会い


 
 
わたしは桐谷 雫。
   ―キリヤ シズク― 
寝不足と低血圧も手伝って今日は朝から猛烈に機嫌が悪い。
 
わたしはだらけそうになる自分に鞭打って昇降口に向かった。
 
 
あ〃〜眠みぃ。
今日は体育サボり決定。
 
 
欠伸を噛み殺しながら上履きに履き替えていると背後から声をかけられた。
 
 
「き、桐谷さんっ!」
「…。」
 
 
誰だっけ?
 
 
振り向くと顔を真っ赤にした男子がわたしを見ている。
 
なんだかオドオドしていつまで待っても用件を言わない。
 
わたしは苛つきを抑える為に深呼吸を1つすると話しかけた。
 
 
「…なに?」
「あ、あの…ボク美術部なんですけど。」
 
 
美術部?
美術部の人がわたしに用事ってなんだ?
 
 
1度大きく息を吸い込んだかと思ったら、その男子は頭を下げながら大声で叫んだ。
 
 
「つ、次のコンクールに出す絵のモデルになってもらえませんか!」
 
 
あまりの大声に登校中の生徒達が一斉にこっちを向いた。
 
当の本人は頭を下げたままピクリともしない。
 
 
はぁぁぁ?
こんな朝っぱらから昇降口でなに言ってんの?
 
めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!
 
 
驚きすぎて固まっていると周囲の声が耳に入った。
 
 
「うわ〜あいつ勇気あるねぇ。」
「なに?告白?」
「えっ誰が誰に告ったわけ?!」
「桐谷 雫だよ。」
「マジで?」
「これで何人目だよ!」
 
 
興味深々で周囲から見られたわたしは一刻も早くこの場から去りたい一心で声を絞りだす。
 
 
「…お断りします。」
「あ、桐谷さん!」
 
 
踵を返すと呼び止める声を無視して教室に向かう。
 
 
「うわ〜撃沈。」
「可哀想ぉ。」
「さすがクールビューティーだな。」
 
 
好き放題言っている野次馬を一睨みして黙らせるとみんなわたしを避けるように廊下の端に寄る。
 
モーゼの十戒状態。
 
 
ったく言いたい放題かよ。 
そもそも告白じゃないし。 
あの男も男だよ!
TPOわきまえろつーの。あれじゃ注目して下さいって言ってるようなもんじゃん。
 
あ〜朝から最悪…υ
 
 
わたしは自分の教室に入ると挨拶もそこそこに机に突っ伏した。
 
 
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