†Wahiawa†

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Happiness.【1】


 
新月が日々ゆっくりと満ちてやがて満月となるようにわたしの中で杠くんの存在はどんどん大きくなっていく。
 
 
気持ちを告げられたあの日から杠くんとはメールや電話で1日に何度も連絡を取っていた。
 
マメな杠くんだから付き合えばそうなるだろうとはなんとなく予想してだけど、正直ここまで頻繁だとは思わなかったよ。
 
携帯がメールの着信を知らせる度に、嬉しさと戸惑いが一気に込み上げてくる。 
今までこんなスタンスで付き合った経験がなかったわたしには戸惑いの方が大きいかもしれない。
 
携帯が鳴り、杠くんからのメールを知らせる。
 
 
『明日どこ行きたい?杠』 
 
う〜ん。
映画はこの前行ったし、たまには違う所に行ってみたいな…。
 
 
わたしはメール作成画面を見つめながら考えた。
 
 
あっ!
水族館行きたいかも。
 
 
『水族館行きたいな。蛍』 
 
1分程で再び携帯が鳴ったので返信の早さに口元が綻ぶ。
 
 
フフッ杠くんわたしよりメール打つの早そう。
 
 
『OK!
 いつも蛍に来てもらっ
 てるから明日はオレが
 そっち行くよ。
 新宿に11:00でい
 い?(^^)v    杠』 
 
 
こっちに来てくれるんだ?それじゃ水族館は品川辺りかな。
 
 
わたしは明日どんな服を着ようか考えながらメールを返信した。
 
 
『了解です。
 明日楽しみにしてるね。 おやすみなさい。 蛍』 
『オレも。
 おやすみ∨    杠』 
 
杠くんからの返信にドキッとする。
 
自然にハートの絵文字を使ってくるメールを見る度いつもそう。
 
今時、女の子だってハートマークを気軽に使うし重要視してない。
男の子だってそうなんだと思う。
 
 
…なんか気恥ずかしくて使えないんだよね。
 
 
自分の送ったメールの文面を見て思わずため息がこぼれる。
 
 
我ながら味気ない。
これじゃわたしの方が漢みたいなメールだよ…。
 
 
わたしは時代に逆行するように未だハートマークに抵抗感があるらしい。
相手に好きと告げているみたいでなんだか無理。
 
杠くんにメールを打つ時に使おうが一応迷うけど結局使わずじまい。
 
 
きっと杠くんは気軽に使ってるんだろうな。
 
 
わたしは携帯を閉じると枕元に置いた。
 
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