†Wahiawa†

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Accident or necessity.
         【1】


 
わたしと別れてまもなく真人は秘書課のコを連れて香港に旅立った。
 
真人との関係は公表してなかったけどみんな気づいてたみたい。
 
影で噂されているのに気が付いた。
 
噂ってホントに尾鰭が付くんだね。
最初は傷ついたりもしたけど段々気にならなくなっちゃった。
 
わたしにとって同じ部署の人達がその事に触れずにいてくれたのが救いだった。 
それから暫くして、わたしは資格を取るために会社を辞めたんだ。
 
あの日、夜空に向かって誓ったから…。
 
 
〜現在〜
 
会社帰りによく来ていたcafeに入る。
薄暗い中、暖かく照らしてくれる間接照明がわたしの緊張を癒してくれた。
 
辞めて以来、久しぶりに前の会社の友達と会う約束をしていた。
 
 
「まさか蛍が医療事務とはねぇ〜。なんかイメージ通りで笑える。(笑)」
「そこ笑うトコ?」
 
 
前と変わらない友達に苦笑いを向ける。
 
わたしの様子にホッとしたように友達が話し始めた。 
 
「元気みたいでよかった。真人さんとの事があったから心配だったんだ。」
 
 
友達のその一言でわたしをどれだけ心配してくれていたのか感じて胸がつまる。同時に別れた事しか話さずに辞めたのを申し訳なく感じた。
 
 
「そのせいで辞めたんでしょ?」
「確かにきっかけではあったよ。でも、つらいから辞めた訳じゃないの。」
 
 
わたしは素直な気持ちを話しだした。
 
 
「真人の事は好きだった。でも愛情がいつの間にか依存に変わってたの。」
「蛍…。」
「秘書課のコとの事はショックだったけどあの関係を清算するきっかけになってくれた。…あんな事でもないとわたし、真人から離れる決心つかなかったと思うんだ。」
 
 
友達はわたしの目を見ながら黙って話を聞いてくれていた。
 
 
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