*fourth floor*
□psicopatico〜そろそろ諦めてきた〜
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「Buona sera!」
流暢なイタリア語が聞こえたと思ったらいきなりガラッと窓の開く音と共にオレを呼ぶ妙にイイ声が響く。
「綱吉くん…!」
「ぅわ…っ、出た!!」
「何ですその反応は!君は僕が傷付かない人間だとでも思ってませんか?!僕だって人並みに傷付くんですよ!!」
「いきなり当たり前のように人ン家の窓から入ってくる奴に何言われても怒る資格なんて無いから…!」
「さぁ綱吉くん!行きますよ!!」
「俺の話はスルーなのかよ!!」
叫んでる間にもグイグイとオレの手を引っ張りズルズルと引きずられながら階段を降りる。
「イヤだー助けてー!!」
「クフフ…恥ずかしがらなくてもいいですよ。でもそんな綱吉くんも可愛いです…クフフフフ」
「笑わないで怖いから!!!っつーか意味分かんないし!!!」
「僕はいつだって綱吉くんの事なら分かりますよ。クフフ…愛の力、ってヤツですね★」
うわーっ、こいつ電波だ!!
こいつと話してると疲れる…人の話聞かないし。
「もうヤダ…」
突っ込もうにもツッコミどころだらけで突っ込む気にもなれずオレは溜め息をついた。
するとオレの溜め息を耳聡く聞きつけて骸が不思議そうな顔で覗き込んできた。
「綱吉くん、溜め息をつくと幸せが逃げるんですよ?」
こいつ!誰のせいだと…!!!
人をムカつかせるのは特技なのか…!
「…で行くってどこに…?」
抵抗するのを早々に諦めて歩きながら骸に問い掛ける。
「決まってます!それは勿論!!」
何だか分からないけど一々ポーズを決める骸が、今は前髪をかき上げて目を両方閉じて妙にカッコつけながらクフフと笑う。
オレはそれをどこか遠い目で見つめながら現実逃避をはかっていたので骸が何か語ってたけど聞いてなかった。
「さぁ着きましたよ綱吉くん!」
という骸の言葉で現実に還って骸を見ると、とびきりの笑顔を浮かべながら片手を胸に当ててもう一方の腕を水平に伸ばしたポーズである建物の前に立っていた。
建物の看板には…
「…カラ…オケ…?」
「そうですよ綱吉くん!カラオケです!」
益々意味が分からなくてきょとんとして骸を見ると骸はクフフと笑った。
どさくさに紛れてオレの肩を抱いてカラオケの受け付けへ。
…って!これじゃあラブホみたいなノリじゃん!!
「ちょ、骸…!はな」
「綱吉くん。僕は今大変に機嫌がいいです。」
「はぁ、そうですか…で?」
「どの位いいのかというと…そこの受け付けのお姉さんの前で綱吉くんに愛の告白をしてディープなキスをしちゃってあまつさえ綱吉くんが如何に可愛いかお姉さんに熱く語っても足りない程です」
わー…何か電波な事言ってる…いや、あーあー聞こえなーい!!オレは何も聞いてない!
「つまり綱吉くん。この僕の機嫌を損ねると良くないですよ?」
結局この一言でオレはまた現実という世界から逃げ出した。
大人しく骸に腰に手を回されカラオケの部屋に入る。
「さぁ綱吉くん!存分に僕の熱い気持ちと僕の美声で歌を聴いてください!!」
オレが断る暇もなく素早く曲を入力すると、マラカスをバッと構えて…マラカス?
どっから出したんだアイツ!!!
そしていそいそとマイクを持つとちょうどイントロが流れる。
わー骸何歌うんだろ…あ、タイトル出た。
えっクフフのフ?!何それ!!!
歌い始めちゃったー!!!
どうしようこっちずっと見てるー!!
ってゆーかもしかしてオレに対して歌ってんの?!
♪まーさかぼーくがこのてでーきみにふれーるなんてーねー…♪
途中クフフとかおやおやとか言うの止めろよー!!サビでマラカス活用すんな踊るなウィンクすんな投げキッスも止めて…!!
マジでキモイよ骸…!
色々心の中で突っ込んでる内に曲が終わった。
良かった…!!ん?骸またこっち見た。真剣そうだな…
「Adorare、綱吉くん!」
「…は?ι」
あ、戻ってきた…何か頬蒸気してるよ骸…激しく踊りすぎなんだよ、まったく。
わっ頬ガシって両手で包み込まれた!顔近いよ!!えっ!!
「綱吉くん…」
「ちょ、ま…んっ」
舌入ってます!骸さん!!
「僕の愛がまだ伝わりきれてない気がしまして…今からは行動で示しますね、綱吉くん」
こんなとこで何する気だよ骸!!やめてここカラオケだから!歌うとこだから…!!ソファーに押し倒すのやめて…!
fin...
ノリに任せて初骸ツナ(笑)!!
→次項石井流輝コメントです。