【うずもれし空白・虚無】
□BIG! BIG? BIG!?
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(その、動く筈のない背景のイモムシが、動いてた様なものか……)
思わず想像してしまい、神威は鳥肌たった。
リアルの自分のこめかみから、冷や汗が流れ落ちる。
と──
「幸乃にとってはなんて事なくても、君にとっては驚異的の事のようだね?」
フフッ、と優しいまなざしを向け、リンは微笑した。
本人(?)はそんなつもりはないのだろうが……
神威は、なんだか鼻で笑われたような気がして、キッと強気な視線を向ける。
出会ってすぐは妖精王を冠してもいいような格調があると思った。
しかし神威にとって今、彼の緑色の肌は青虫を連想させるものでしかない。
昔から、どうにも虫の類いは苦手なのだ。ゴキブリをはじめ、蝶や蛾などの幼虫類──
「……虫の分際で……人を装い、喋るな〜!?」
ゾワ〜っ!? と先ほど以上に鳥肌たち、神威は槍を構えた。
恐怖と混乱を半ば自覚しつつ、切っ先をリンに向ける。
キャッ!? と短く悲鳴をあげ、幸乃は慌てて言った。
「神威さん、やめてください! 彼は私たちと同じ、心も感情もある……」
「黙れ!ゲテモノ好きが!!」
込み上げる怒りを押さえず。幸乃の言葉を遮って、神威は一喝した。