【うずもれし空白・虚無】

□最終兵器か……
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『ん〜〜。司クンは、すっごい好きだけど……
 でも、司クンとカールを比較するのは、僕は、なんか違う感じするんだ』
『ん?』
『あのね、比べる対象じゃないっていうか? 司クンは司クンで、カールきゅんはカールきゅんなの。
 カールきゅんも好きなんだけど、司クンとは違う感じ。カールは、好きかどうかというより、それ以前の問題というか……
 この前みたいに、泣かしちゃいけないコなんだ。僕にとって。
 上手く言えないけど……』
『また言った』
『ふえ? 何が?』  ──さっきのやり取りを思い返し、楚良は、むー、と眉間にしわを寄せた。
「アンタさあ。真面目な話してて、なにどうでもいいことに注目してんだよ」
 不機嫌に言う。
「すまんすまん」
 クリムは謝った。が、
「でも、言ってたよな? 『僕』って」
 楚良は不機嫌にそっぽを向く。
「言ってたよな?」
 クリムは重ねて言う。
「……言ってたとしたら、どうだっての?」
「いや、どうという程でもないが。何と言うか、以外というか──」
 クリムは一瞬言いよどんだが、意を決し言った。
「可愛いなあと」
 そう言われ、楚良はカァッ、と顔が赤くなるのを感じた。
「しょっ、しょーがねーだろっ。昔からのクセで、なかなか抜けないんだからっ」
 つい、自分で認めるようなことを言ってしまう。
「それに、親やセンセーの前では、できるだけ行儀よくしてるから、余計直らないというか──
 あ〜!? なにニヤニヤしてんだ、このヤロー!」
 と楚良は、自分の慌てる姿を見て笑いを堪えるクリムを、ポカポカ殴ろうとする。
「すまんすまん」
 楚良の拳を防ぎながら、クリムは謝った。
 と──
「あ!」
 楚良は驚いたような声を出す。
 かと思えば、すぐさま後ろを振り返り、何か考えているようであった。
「なんだ!? どうした?」
 少し驚きつつクリムは尋ねた。
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