【うずもれし空白・虚無】
□最終兵器か……
2ページ/12ページ
『ん〜〜。司クンは、すっごい好きだけど……
でも、司クンとカールを比較するのは、僕は、なんか違う感じするんだ』
『ん?』
『あのね、比べる対象じゃないっていうか? 司クンは司クンで、カールきゅんはカールきゅんなの。
カールきゅんも好きなんだけど、司クンとは違う感じ。カールは、好きかどうかというより、それ以前の問題というか……
この前みたいに、泣かしちゃいけないコなんだ。僕にとって。
上手く言えないけど……』
『また言った』
『ふえ? 何が?』 ──さっきのやり取りを思い返し、楚良は、むー、と眉間にしわを寄せた。
「アンタさあ。真面目な話してて、なにどうでもいいことに注目してんだよ」
不機嫌に言う。
「すまんすまん」
クリムは謝った。が、
「でも、言ってたよな? 『僕』って」
楚良は不機嫌にそっぽを向く。
「言ってたよな?」
クリムは重ねて言う。
「……言ってたとしたら、どうだっての?」
「いや、どうという程でもないが。何と言うか、以外というか──」
クリムは一瞬言いよどんだが、意を決し言った。
「可愛いなあと」
そう言われ、楚良はカァッ、と顔が赤くなるのを感じた。
「しょっ、しょーがねーだろっ。昔からのクセで、なかなか抜けないんだからっ」
つい、自分で認めるようなことを言ってしまう。
「それに、親やセンセーの前では、できるだけ行儀よくしてるから、余計直らないというか──
あ〜!? なにニヤニヤしてんだ、このヤロー!」
と楚良は、自分の慌てる姿を見て笑いを堪えるクリムを、ポカポカ殴ろうとする。
「すまんすまん」
楚良の拳を防ぎながら、クリムは謝った。
と──
「あ!」
楚良は驚いたような声を出す。
かと思えば、すぐさま後ろを振り返り、何か考えているようであった。
「なんだ!? どうした?」
少し驚きつつクリムは尋ねた。