【ガンダムOO/MOON&SUN】
□友
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おれが情報屋と知り合い、暫く経ってからのこと。
仕事(殺し屋)を辞めろ、と言われたことがある。
理由は、おれが殺し屋をやるに相応しい質(タチ)じゃないからだ、と。
純粋すぎる。
そう、奴に言われた。
奴はおれを気に入ったのか、仕事にかこつけては世話を焼く。
おれも、奴を信頼してよく部屋に上げるようになっていた。
ある時おれは奴に、どうして軍にいた当初から寮に入らず、アパート暮らしだったのかを訊かれる。
今は暗殺仕事(スナイパー)一本で通しているが、ほんの二〜三ヶ月前まで、おれはとある軍の特殊部隊に所属し、その仕事を表稼業としてていた。
おれが軍に入ると決めた時、最初は寮に入るつもりだったのだが、それをライルに話したら猛反対にあったのだ。
何故かライルは反対する理由を教えてはくれなかった。
それで、おれは奴に「弟が寮に入るのを断固として許してくれなかったんで」と説明する。
そしたら奴は、弟さんの意見に従うのは懸命な判断だったな、と言う。
おれがどういう意味なのか訊くと、狼の群の中に羊を一匹放りこむ様なモノだろ? と言う。
それでもおれが解らずに首を傾げていると、奴は深々と溜息を吐き、こう言った。
十中八九、野郎共に犯されるってこった、と。
それを聞き、おれは驚く。
「軍の奴らはホモやバイの集まりなのか!?」
すると奴は、そういう訳じゃねーけどよ、と手をヒラヒラさせる。
女に餓えてる奴らにしたら、オメーみてぇなカワイコちゃんは十分代わりになって、むしゃぶりつきたくなるんだよ、と。
おれは情報屋の表現の所為もあって、気分が悪くなる。
それに気づき奴は、あ、悪ィ……と申し訳なさそうに謝った。
おれが「おれはそんなに女っぽいか?」と訊いたら奴は、いや、と首を振る。
パッと見、ちょっとワイルドでニヒルなイカす兄ちゃんだぜ、と。
「だったら何故、女の代わりにされる危険性があるんだ?」と訊いたら、おまえさん綺麗だしエロいんだよ、と言われた。
それでまた、おれは落ち込む。
おれが鬱ぎ込んでると情報屋は何やら考え込んでいたようで、ふと思い至ったらしく、こう言った。
おまえさん、弟さんに守られてきたんだなあ、と。
それをおれは否定することができなかった。