【ガンダムOO/MOON&SUN】
□TWIW ─禁断の果実─ 3
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〔シンクロニティ〕
おれ達は。
何処へ向かって。
何処へ行くのだろう。
おれ達は。
何なのだろう。
何者なのだろう。
答えは、あるのだろうか──
おれ達は幼い頃、言葉を口にしなくても互いの気持ちを理解することができた。
互いの気配を察することができた。
かくれんぼをしていれば、何処に隠れていようと、すぐに見つけることができた。
どちらかが怪我すると、いつの間にかもう片方も同じ怪我をしていた。
どちらかが風邪をひけば、もう片方も風邪をひく。
おれ達は、いつも一緒だった。
その不思議な現象は、時が経つにつれ薄れていった。
互いがそれぞれ独立した、別の人間だと理解していったからか。
それでも時折、強い絆を感じることがある。
身の危険を感じた時。
強い感情に揺さぶられた時など。
しかし、おれ達の自我が確立されるにしたがって、奇妙な同調は薄れていった。
それをおれ達は、喜んぶべきなのか、哀しむべきなのか、判別できないでいた。
おれが先輩にレイプされそうになった時。
おれは助けを求めた。
だが同時に、このことが誰かに知られるのがコワかった。
おれは心を閉ざした。
ライルにすら、心を閉ざした。
兄さんの身に危険なことが起きてたというのに、おれはそれを察することができなかった。
兄さんが大変なめに遭ってたというのに、何も知らずに楽しんで帰宅したことが歯痒かった。
おれは泣いた。
自分自身に対する苛立ちと、悔しさで泣いた。
兄さんは気にするなと言ったけれど、おれは自分自身を許せなかった。
おれは誓う。
もう二度と、兄さんを危険な目に遭わせはしないと。
もう二度と、兄さんを独りきりにしないと。
おれは兄さんであり、兄さんはおれだから。
おれ達は。
何処へ向かって。
何処へ行くのだろう。
おれ達は。
何なのだろう。
何者なのだろう。
答えは、まだ見つからない──
fin.