【ガンダムOO/MOON&SUN】
□Secret love
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〔Secret love〕
「ラーイル!」
「わあっ!?」
ある冬の日の夕方、ライルは宿題をしに行ってた友人宅からの帰宅途中、突然後ろから抱き締められた。
「に、兄さん?」
「驚いたか?」
「驚いたに決まってるじゃないか」
「ヘヘヘ〜♪」
「ヒドいなあ」
と言いつつ、ライルには怒った様子はない。
「今帰りか?」
「うん。兄さんは?」
「おれは母さんに頼まれてた買い物の帰り」
「そうなんだ」
二人は揃って帰宅をする。
「兄さん……」
その日の夜。
寝る前に宿題を片付けているニールに、ライルはおずおずと話しかける。
「ん? どうした?」
「あのさ……」
と切り出したものの、ライルはそのまま黙り込む。
「なんだよ。どうしたんだ?」
椅子を回転させ、ニールはライルへと振り返る。
黙っていたかと思うと、
「実は、今日の帰りのことだけどさ」
と話し出した。
「ああ」
「もう、ああいうことはやめてくれないかな?」
「脅かしたことか?」
「違う」
「じゃあ、なんだ?」
「抱き付くことだよ」
「っ、なんで!?」
ニールは素頓狂な声をあげる。
「べつに良いじゃねーか」
「その……揶揄われるんだよ、友達に。
いくら双子だからって、男同士でベタベタして気持ち悪いって」
「んなの言わせとけばいいじゃねーか」
「おれは」
ライルはニールの肩をぐっと掴むと、
「イヤなんだよっ! ブラコンだとかホモだとか言われるんだぜっ、変な噂がたったら堪ったもんじゃねーや!」
気圧され、ニールは思わず後ろに退く。
「そんなにイヤなのか?」
「ああ!」
「………………」
ニールは黙りこくっていたかと思うと、深々と溜め息を吐き、
「わかった」
沈痛な面持ちで呟いた。
数日後、ニールは怒っていた。
不貞腐れていた。
「兄さん……」
「……」
「兄さん、そう怒んないでよ」
「……これが怒らずにいられるか。
おまえ、おれにはベタベタしてくんなとか言っておいて、友達とは肩組んだりしてさ」
「だって、友達だし」
「どうして友達がよくて兄弟はダメなんだよ!」
「それは──」
「最近じゃエイミーも『あたしは女の子なんだから、気安く抱き付かないで』とか言うしよ。
ったくー、色気付きやがって」
愛する妹にまで邪険にされ、兄弟妹とのスキンシップができなくて、ニールはスッカリ拗ねてしまっていた。