【ガンダムOO/うたかた】
□子供のおやつ
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初めて逢った時、刹那はまだ14歳だった。
その顔には、まだたっぷりと幼さを残しており、詮索はしないが一体どういった理由でこのお子ちゃまはソレスタルビーイングに来る気になったんだろう、とロックオンは不思議に思っていた。
自分と違い、頬のラインはふくふくとしており、本来なら家で母親に甘えていてもおかしくなく思える。
しかし此所に来る面々は、みな何らかの理由があり天涯孤独も同然の身。
帰る家がないから此所にいるのだろう……ロックオンは思った。
ある時食堂でロックオンは仲間と雑談をしていた。
「クリスマスの時は、お袋がでっかいケーキを焼いてな」
「クリスマス? ケーキ?」
僅かに眉を上げ疑問を浮かべる刹那に、
「知らないのか?」
ロックオンは問う。
「ああ」
短く答える刹那に、ロックオンにクリスティナ、アレルヤは説明する。
「ケーキ……」
ぽつり、と刹那。
「食ったことないのか?」
「ああ」
またもや短く答える刹那をじっと見て、ロックオンは提案した。
「明日作ってやる。買い出しに付き合え」
ロックオンと刹那は二人並んでショッピングモールを移動する。
手には大きな買い物袋を下げている。
始終黙ったままだったが、刹那が興味津津と店を見回してるのにロックオンは気付いていた。
この子供は、こんな日常の行動にも縁遠かったんだろうか?
疑問は口にしなかったが、ロックオンは観光ガイド宜しく刹那にあれこれ教えてやった。
基地に戻って来ると、早速ロックオンはケーキ作りに取り掛かる。
「本当に作るのかい?」
驚きを顕にするアレルヤに、
「勿論だとも」
意気揚々とロックオンは答える。
「母親仕込みだ、楽しみにしてろよ」