【時空漂える泡沫・黄昏】
□傷
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長いこと`世界'に居続けてゲームをしていると、困った事が多々起きる。
気の良い知り合いが増えるのは良いことだが、下手に名前が売れると、関わりたくないような輩にも名を知られること。
結果、厄介ごとに巻き込まれること。
この`世界'にはプレイヤーの使用するキャラクター──PC(プレイヤーキャラクター)を殺せる機能がある。その被害に遭うこと。
結果、自分の分身のような存在であるPCをキル(殺)され、不快感にみまわれたり、ゲームに費やした時間を無駄にすること。
……細かいことを上げていけば、他にもあるだろう。
しかし、今回はこんなもので説明は事足りる。
「最近増えたよね〜、こういうバカな奴等!」
最後の一人を心臓を一突きに刺し殺した楚良は、目の前のそれが崩折れ、色をなくしたのを確認し、そう言った。
腕に装着している双剣を一振りしてから、刃をしまう。
「そうだな……」
楚良と手合わせしようと待ち合わせていた時、奴等は現れた。
総勢十数名……二十人近かったか? 数えてはいないので、はっきりしない。
奴等は俺……`赤い稲妻'のクリムを倒して名を上げると言って、一度に大人数で攻撃を仕掛けて来た。