【時空漂える泡沫・黄昏】

□はじめてのCHUー♪
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「いつまでも逃げてんしゃねーよ! 腰抜けがっ!」
 ギラギラと飢えた野獣のような目で、楚良は俺を睨み付け、次々と攻撃を繰り出して来る。
「逃げてる訳じゃあない。こうやって攻撃の隙を伺ってるだけだ」
「はンっ! バッカじゃねーの? 自分で手の内曝してるようなモンじゃん」
「それはどうかな」
 俺は攻撃を全て受け止め、または躱しながら答えた。


 十日以上も前になるか。
 俺はBTに言われた。
 毎回毎回、楚良の相手をして厭き(アキ)はしないのか、と。
「ん? いや……ていの良い修行相手というかだな」
「嫌ってたんじゃなかったのか?」
「そりゃ会ったばかりの頃の話だ。
 会ったばかりの頃は……奴が大体幾つくらいなのか、解らなかったしたな。
 今はそうだな。困ったガキンチョというか? あの生意気な態度も減らず口も、可愛いモンだ」
 笑って言うと、
「それだけか?」
「は?」
「困ったガキ。修行相手……
 本当にそれだけか? と訊いている」
 俺は含んだ物言いのBTに一瞬戸惑った。
「それ以外に……何があるんだ?」
「フンッ! 解らないなら、べつにいいさ」
 意味あり気な笑みを残し、BTは去った。


 修行相手。
 困ったガキンチョ。
 ……それ以外に、何があるってんだ?
「ん〜〜……遊び相手? 弟分? 仲間……とか?
「なにブツブツ言ってんだ!」
 奴は間合いを寄せ、右手で一気に突いてきた。
「おっと!」
 俺は辛うじて避け、下から上へと槍を振り上げるた。
 その切っ先を、楚良は後方に飛び退いて避ける。
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