【うずもれし空白・虚無】
□BIG! BIG? BIG!?
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幸乃の視線を追うように頭上を見上げ、神威は驚愕に目を見開いた。
「……なんだ、このデカいのは……?」
「彼の抜け殻です。
成長したって言ったじゃないですか」
上司である神威が、どうして驚いてるのか内心疑問に思いつつ、幸乃は言った。
「まさか、蛹になる前も……?」
うっすらと汗を感じつつ、神威。
それに対し、
「もちろん、全長が私と同じくらいありましたよ♪」
なんて事なさそうに、幸乃は笑顔のエモーションで答えた。
幸乃が私用に使っているPCは、小柄な少女だ。それでも、平均的に見て中高生くらいの年代の容姿。
低く見ても、140cmよりは高いだろう。
それと、同じくらいある、巨大なイモムシ……
神威は、昔から虫の類いは苦手だった。
The worldというゲームは、フィールドによっては巨大なイモムシの死骸がゴロゴロしている。
学生時代このゲームをプレイしつつ、一体誰がこんな悪趣味な背景を考えたんだと憤慨したものだった。
プチグソの餌になる`ラ・パンプキン'が、死骸の近くにある。
たとえデフォルメされたデザインだろうと、近寄って気持ちのいいものではないと、ずっと思っていた。
今の仕事に就いてからでも、できればああいう処に出向くのは、ごめんこうむりたいと内心思っている。