【うずもれし空白・虚無】
□最終兵器か……
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〔最終兵器か……〕
「また言った」
「ふえ? 何が?」
とあるフィールド。そこは、樹木が生い茂る空間だった。
その一角で、クリムと楚良は毎度お馴染みの『決闘』をし、今回も引き分けに終る。
それから、のんびりと腰を下ろして他愛ない会話をしていたとこだった。
「『ボ・ク』」
と、クリムは区切ってはっきりとした発音で言う。
「えっ?」
楚良は、一瞬何を言われたかわからなかった。
「前から少し気になってたんだが……
お前、自分のことを『僕』って言う事あるよな?」
楚良は、ギクッとなったが、素知らぬふりをした。
「えぇ〜、何のこと? ボクちん知らないなあ?」
「そうやって、軽口やふざけで『ボクちん』と言うのは知ってたが……」
クリムは苦笑しつつ、続けた。
「たまに真面目な口調の時に『僕』と言うことがあると、最近になって気付いたんだ」
楚良は黙っていた。
決闘のあと、色々話していたが、今さっきは、カールのことを訊かれて答えてた。
カールのことをどう思っているのか? 好きなのか? と訊かれて、好きだけど? と答えた。
そうしたら、クリムは、司やミミル、BTやベア……自分を含めた昔からの知り合いの名前を次々並べ、好きかと訊いてきた。
それに対し、楚良は『大好き』『好き』『まあまあ』『多少は』『昔よりはマシ』等々答えた。
そしたらクリムは。じゃあ、みんなと比較して、カールのことはどれくらい好きなのか? 特に、大好きと評した司と比べてどうなのか? と。
『なんか、前にもそんなよーなこと、訊いてたねえ?』
『そういえば、そうだな。しかし、あの時話が途中で終わってしまったんで、改めて訊こうと──』