駄文
□月の祝福
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「ここは相変わらず静かでいいな。」
蛍人は群がる蛍の光に包まれて、草原に体を横たえ近くを流れる小川のせせらぎに耳を傾けていた。
少し癖のある銀灰色の髪は蒼白い月明かりに照らされ、気持ちよさそうに風に揺れている。
どれくらいの時間が過ぎたのか、いつの間にか寝てしまっていた蛍人は、先程まで煩いくらいまとわりついていた蛍達がいないことに気が付いた。
「目を覚ましましたか?このようなところでおやすみになっていると風邪をひきますよ?」
ふいに聞こえてきた澄んだ声に蛍人は飛び起き、いつからそこにいたのか、隣に座って静かに微笑んでいる女性を睨み付けた。
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