三国志テキスト

□渇
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夜の帳が降りた陣営には、色濃く殺気が漂っていた。

輝く星や静かに佇む月も、その雰囲気を和ませることは出来ないようだ。

呂布との決戦を間近に迎えた今、兵士たちが気を立たせるのも無理はない。

戦前特有の高ぶりを感じながら、劉備は所々で焚かれている篝火の側を抜け、供も連れずに陣営の中を歩いていた。

己を呼び出した人の顔を浮かべ、大きな溜め息をつく。
ふわりと吹いた冷たい風に、その息も飛ばされていった。




呂布に破れ拠る所を無くした劉備は、曹操の元に身を寄せていた。

何が気に入られたのかは分からないが、客将となって以来毎日のように呼び出されて、二人きりで話をしたり酒を酌み交わしたりしている。

今日もまた、曹操に呼び出されていた。
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