るろうにテキスト
□そういう関係
1ページ/17ページ
空は青い。
雲は白い。
日差しが眩しい。
真上まで昇った昼の太陽は、建物や往来を歩く人に暖い光を投げ掛けていた。
梅が散り、桜の蕾がはち切れそうなほど膨らんでいる今日この頃。
左之助は相変わらず働きもせず、神谷道場の縁側に腰掛けてぼおっとしていた。
「剣心!それが終わったら買い物に行ってくれない?」
洗濯をする剣心の背中に向かって声を上げる薫を一瞥して、左之助は青い空を見上げる。
「お味噌が切れちゃったの」
再び彼等に目をやると、困り顔をする薫を振り返り、剣心が頷いているのが見えた。
「お願いね。出稽古に行ってくるわ」
薫はそう言って、今度は左之介の方を向いた。
「左之助も少しは働きなさい。働かざる者食うべからずよ!」
「へいへい」
へらへらと笑いながらと手を振ると、呆れた顔をされた。
「じゃあ行ってくるわね」
薫は剣心にそう告げると、振り返って愛弟子の名前を呼ぶ。
弥彦が慌てたように、竹刀を背負って出て来た。
「おい待てよ薫!」
「あんたがもたもたしてるから遅れちゃうじゃないの!早くしなさい」
「うるせぇな!元はと言えばお前が」
「いいから早く行くわよ!」
どたばたと騒がしく去っていく二人を、剣心は苦笑しながら、左之介は笑いながら見送る。
薫が弥彦をど突いた所で、その背中は見えなくなった。