小品集
□恋する姫の悩みごと
1ページ/3ページ
神聖ブリタニア帝国の第3皇女、ユーフェミアは今とある人の事で悩んでいた。
その人物は言わずもがなというべきか、ルルーシュの事だ。
「(どうしたら、もっとルルーシュと会う事が出来るのかしら)」
ルルーシュとユーフェミアは恋仲だった。最も、それは周囲には秘密だが。
理由はコードギアスを知っている方なら、もう御存知だろう。ルルーシュが亡くなっているはずの元皇子で、ユーフェミアとは異母兄妹の関係にある事を。
が、そんな事は二人が幸せなので置いておき、色々と忙しい二人は此処最近特に会えない日々が続いているのだ。
「(手っ取り早いのは、やはり脱走?でもそれではルルーシュ達に迷惑がかかるのよね。ああ困ったわ、どうすれば…)」
「…殿下、……ユフィ?どうしたの?」
「………え?」
呼び声で思案の淵から戻ってくると、目の前にはユーフェミアの騎士であるスザクが不思議そうにこちらを見ている。
ユーフェミアはすっかり忘れていたが、今は二人でお茶をしていたのだ。
「あ…ごめんなさい、スザク。少し考え事をしていて……」
「…ルルーシュの事だよね」
スザクは苦笑して平気だと告げる。
ユーフェミアは黙って頷いた。
スザクは二人の理解者だった。
『血が繋がっていても、当人達が幸せなら良いんじゃない?』との考え方なのだ。
ルルーシュの複雑な事情をも知っているスザクは、二人の良き相談相手となっている。ルルーシュの実妹のナナリーもまたしかり。
「最近、お互いに忙しくて今まで以上に会う事が出来なくて…」
「あぁ、そういや確かに生徒会の方が忙しいね。で、ユフィはルルーシュに会いたい?」
寂しそうな表情で頷くユーフェミアを見て、スザクはルルーシュの様子を思い出す。
彼も、一見平然と振る舞っているように見えた。が、幼なじみのスザクから見ればあれは落ち込んでいたりするのだ。
例えば、溜め息の数が多くなったり、舌打ちの数が多くなったり。
スザクは何とかして二人を会わせようと画策した。
「……よし、一計案じますか」
「スザク?」
スザクは携帯を取り出し、どこかへ掛け始める。
[……もしもし?]
「ナナリー。僕だよ、スザクだ」
[あら。どうかされましたか、スザクさん]
「ちょっと頼みがあるんだけど…」
[…お兄様とユフィお姉様の事でしょう?]
*