naruto novel
□夏宵
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※一部設定でも読めます。
タコ焼き、わたあめ、かき氷、いか焼きといえば…
………夏祭り。
今日、ここ木ノ葉の里でも開かれる。大人も子ども楽しめる夏の一大行事だ。
「よし、準備出来た」
ナルは部屋で準備をし終えると、居間で待っているだろうシカマルの元へと急ぐ。
「シカ、お待たせ!」
「おう、準備出来たか?じゃあ行くか」
「うん」
ナルもシカマルもともに今年仕立てた浴衣に身を包んでいる。
シカマルは深い藍色の浴衣に黒い帯、ナルは水色の浴衣に赤色を主とした帯。
お互いが相手のものを見立てただけあって、よく2人に似合っていた。
それを変化した状態で着ている。ちょうど暗部任務時の彩華と椎影で面を外しただけの姿だ。
里の者たちは一部を除く大半がナルの本来の性別を知らない。
だが、ナルとしては本来の性で出掛けたい。それを隠すためのものだが、知り合いに見つかりにくいという利点もある。
纏う空気が違うだけで案外見つからないものだ。
互いに人混みが苦手ではあるが、それでもこの夏祭りには毎年2人で行っているがやはり誰にも邪魔されたくない。
会場に着いた2人は慣れたようにいくつかの夜店をまわる。
「わたあめとりんご飴とかき氷が食べたい」
「へいへい。相変わらず甘いものばかりだなぁお前。俺はいか焼きとかタコ焼きが食いたいな」
「あっそれ私も食べたい!シカちょうだいね」
「分かってるよ」
もちろん2人の手はしっかりと繋がれているので先程から男女ともにたくさんの視線を集めていても気にしない。といってもシカマルはナルに対する視線には睨みをきかせているのだが。
多少の殺気を込めれば皆慌てたように目を逸らす。
にやっと口元に笑みをうがべナルを自分に引き寄せる。
「シカ?」
「ん?」
「何でもない」
ナルはなんとなくそんなシカマルに気づいているがそれについて深く追求はしない。これ以上の殺気を出すようならとめるがシカマルがそんなことをする訳がないことを知っている。
それにやっぱり嬉しいし。
「ふふ」
「どうした?」
「何にも!」
どこか機嫌のいいナルを不思議に思いがらも楽しんでいるならそれが1番だ。
「次はあっちに行こう」
「へいへい」
了解しました。お姫様。
耳元で囁いてやると途端に頬を赤くするナルに可愛いと思いながら、ナルの行きたい夜店の方へ手を引いて歩くシカマルだった。
夏宵
(どこへでもお供します。ぼくのお姫様)
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