tennis novel

□Special Anniversary!
1ページ/6ページ



「なぁなぁ、日吉。明日何の日か知ってっか?」


岳人は部室で部誌を書いている日吉に話しかける。
ワクワクといった感じが今の岳人には1番合うだろう。


ずっと片思いである日吉に気持ちはなかなか伝えられないが、好きな人にあの一言を言って貰えればどんなに嬉しいかと思ったのだ。


「明日?明日って9/12ですよね?何かありましたっけ?」


日吉は1度書く手を止めて岳人を見たが、また手を再開する。


「そっか。知らないならいいや。変な事聞いて悪かったな…。んじゃ、また明日な!」


岳人は日吉の返答に肩を落とすが、日吉が変に思うといけないと思い、最後は明るく帰って行った。
しかし、どう見ても空元気。無理に元気に振る舞っているのがバレバレだ。
岳人としては先程の質問に淡い期待を持っていたがそれが無くなったのだから…。








「はぁ…」


岳人が出て行った後、またやってしまったと落ち込む日吉がいた。
どうも最近、自分は岳人を悲しませてばかりだ。
それでも、岳人は日吉に笑ってくれる。その笑顔がすごく大切なのに…。
悲しい顔ばかりさせてしまう。




そんな日吉に話しかける者がいた。


「なんや、日吉。ホンマに明日何の日か知らんのか?」


忍足だ。
岳人がかなり落ち込んでいたのが分かるため、僅かに怒気が含まれている。岳人の親友として見逃す訳にはいかなかったのだ。


「明日は向日さんの誕生日ですよね?」

「知っとるやん。何で言うてやらへんかったん?」

「俺なんかが祝ったらいけないでしょう?俺はあの人を悲しませる事しか出来ない」


要するに自分に自信がないのだ。
そのために最近岳人を傷つけている。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ