tennis novel
□棚からラッキー☆
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7月3日 a.m.6:30
目覚まし時計の音に気づいて南は目を覚ました。
何時もと同じ時刻だが何時もなら聞こえる階下から聞こえる物音はしない。
「そういえば母さん達いないんだっけ…」
昨日、祖父の家から電話があり、祖父がギックリ腰になったとかで慌てて手伝いに行った。母親はすごく申し訳なさそうにしていたがそんなことは気にするなと祖父の家に向かわせた。
それは今日が南の誕生日だからなのだが中3にもなって家族に祝ってもらえないからといってどうということはない。
父親や弟も祖父の家に行っているため家には南1人だ。
母親があらかじめ作っておいてくれた朝食をとり、学校に行く準備をする。
そして戸締まりの確認をし玄関のドアを開け、一瞬南は固まった。
「千石!?」
「やっほー、南」
玄関の門の外に千石がいたのだ。
「どうしたんだよ?」
南は千石に聞きながらも玄関のカギを閉める。
「あれっ!?今日おばさんいないの?」
南の何時もならしない行動に千石は驚く。
「ああ。じいちゃん家行ってる」
「今日の朝から?」
「いや昨日からだけど…」
「おじさんと弟くんも?もしや今日も帰ってこないとか?」
「ああ」
「じゃあ南1人じゃん!よし!今日はこのキヨスミくんが南とずっと一緒にいてあげるよ!ってことで、泊まっていい?」
「えっ?」
「南…、ダメ?」
千石は南の顔を覗き込む。それは千石が意識していなくても南より身長が低い千石は上目使いになる。そんな顔を見せられては駄目など言えるはずなく…。実は南は千石のこの顔に弱かったりするのだ。
「いや…別にいいけど」
「んじゃあ決定!」
「ただな、母さんいないから何も夕食とかたいしたもん出来ねぇぞ」
「そんなの全然OK!OK!」
千石はすごく嬉しそうに南の横を歩いている。
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