tennis novel
□今年も……
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「おチビ〜!あけましておめでとう!今年もよろしくにゃ」
「越前、それに手塚も、あけましておめでとう」
「おめでとう。こちらこそよろしく」
「おめでとうっス」
待ち合わせ場所に先に着いていた不二と菊丸は後からやってきた手塚とリョーマを見つけて声をかける。
今から4人で近所の神社初詣に行く予定だ。
「ふふ、越前ずいぶん可愛い格好してるじゃない。手塚は予想通りだけど…」
「ホントだにゃ。おチビスッゴイ可愛い」
「これは彩菜さんが…」
リョーマは照れて下を向いてしまう。
リョーマが今着ているのは着物。
それも女物の振袖と言われる着物だ。
もちろんリョーマによく似合っているのは言うまでもない。
出かける前に彩菜に捕まり、笑顔で押し切られたのだった。
彼女の笑顔には逆らえない。それは手塚家だけではなくリョーマにも言えることで…。
そしてとどめのこの一言。
『きっと国光も喜んでくれるわ』
その時点でリョーマに拒否権はない。
彩菜により飾られたリョーマを見た手塚が言葉を失ったのは仕方がないのかもしれない。それほどよく似合っていたのだから。
すぐ立ち直った手塚はリョーマに「似合っている。とても可愛い」と伝えたがリョーマからの反応はない。
どうしたのかと思えばリョーマはリョーマで手塚に見惚れていたのだ。
滅多に見ない手塚の和服姿に。
そんなバカップルなエピソードを朝から作りつつ、2人は待ち合わせ場所に現れたのだった。
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