tennis novel

□アイリス
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「う〜」

「なんやねん!辛気臭い顔して!」

「しらいしぃ〜」

「はぁ…。もうだからなんやねん…」


朝、教室に入った途端白石は先に来ていた謙也に泣きつかれた。


「光からメールも電話もなかってん…」

「はぁ?自分、主語から話しや」

「せやから、今日12時過ぎてもそれに朝も光からメールも電話もなかったんや!」


そういえば今日謙也誕生日やったなぁと白石は思い出し、それならこの落ち込みも理解出来ないことはないがそれでもここまではないだろう。

といっても、財前が謙也の誕生日を忘れるはずないと思うのだが。
何か考えがあるのだろうなと白石は考えつつ、さっきから重い空気を撒き散らしている謙也をどうしようかと悩む。
クラスメートの視線も痛くなってきたし。



卒業式前日のこの日に何か授業もあるはずもなく、担任もしばらく来る気配はないようだ。
受験も終わって教室中の空気はほんわかのんびりしているのにここだけ空気が重い。



だからといって謙也を回復させられるのはあの後輩しかいないわけで。


「はぁ…」


1、2年生は今頃卒業式の予行練習中のはずで。
ここに財前は呼び出しにくいなと思いながら白石はメールを打つ。



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