tennis2
□jealousy
1ページ/1ページ
部活帰り。並んで歩きながらそうだっと菊丸は思い出した。
「どうしたの?英二」
「あのね!不二!今度の週末オレ、おチビん家に泊まるんだ」
「そっか。楽しんで来てね」
結構気合いを入れて言ったはずなのに、菊丸の予想と違って不二からはあっさりと返事が返ってきた。いつもと変わらない微笑みで。
不機嫌になることを予想していた菊丸は拍子抜けだ。
今までの不二ならかなり不機嫌になること間違いなしなのだが。乾の言葉を借りるなら不機嫌になる確率100%だ。
それが今の不二ときたらいつも通りの上、楽しんで来てねと逆に送り出してくれる始末。
これはいったいどういうことかと菊丸は悩んだ。それと共に不安になる。
「ねぇ不二?オレのこと怒ってる?」
「どうして?」
「それかオレのこと嫌いになっちゃった?」
泣きそうな顔の菊丸。不二に嫌われたくないと必死に目から伝わってくる。
「どうしたの?英二。君はさっきからおかしなことを言うね。僕が君を嫌いになるわけないよ。それに怒ってもないよ」
先程から必死に自分を見つめてくる大きな目からは今にも涙がこぼれ落ちてきそうだ。
菊丸の頬に手をそえると親指でそっと目元を触る。
そしてちゅっと目元にキスをすると今にもこぼれ落ちそうな涙を吸い取る。
「僕は君が好きだよ。英二」
「ホントに?」
「今まで僕が君に嘘をついたことあったかな?」
「ない!」
「ふふ。で、どうしたのかな?」
やっと元気になってきた菊丸に改めて優しく不二は問う。
「いつもだったらオレが誰かの家に泊まるとか、誰かを家に泊めるって言ったらすっごく怒るじゃん」
ぷくっと頬を膨らませ、拗ねたように言う菊丸。
以前、不二に黙って大石が家に泊まった時、不二はとても不機嫌で大変だったのだ。それ以来、不二には一言言っていたのだが当然の如く毎回不機嫌になり、結局は不二も一緒にということになるのが常だ。
「そういうことか。僕がいつもみたいにならないから不安になっちゃったんだね。それはね、いつもは相手が悪いんだよ」
いつもだいたい大石か桃でしょ?と不二は続ける。
「おチビだったらいいのにゃ?」
「もちろん。だから楽しんでおいで」
手塚も英二だから許したんだろうしねと不二は内心思いながら先程とは違って楽しそうにしている菊丸を見ていた。
何故、大石や桃城は駄目でリョーマならば了承されるのかという疑問。
それはもちろん…。
jealousy
(恋人は心配症)
(きみはぼくのものだよ)
.