tennis2
□ありがとう
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7月20日。今日は終業式。1学期も今日で終わり。明日からは楽しい夏休みだ。といっても部活と試合でほとんど潰れるが。
通知表をもらってホームルームもそこそこに謙也は教室を飛び出した。後ろで白石が何か言っていたが気にしない。今日は部活もないし、この後ミーティングも無かったはずだ。
自転車でこの春卒業した中学校までハイスピードでこぐ。
浪花のスピードスターらしく本来15分かかる道を5分もかからず到着した。
こちらはまだホームルーム中のようで校舎内はまだ静かだ。
「部室で待っとこか…」
急いで来たために汗をかいて気持ち悪い。
部室に着いたが鍵が開いていないため仕方なく部室の横の日陰で待つことにした。そこは日陰ということもあり涼しく、汗もひいてきた。
そしてしばらくすると校内も騒がしくなり、こちらへ向かってくる気配も感じられる。
「あつ…」
聞き慣れた声が聞こえ、日陰から顔を出して見てみると鍵を出して部室を開けようとしていたのは謙也の待ち人。
「光!!」
「えっ!?謙也さん!何でここにおるん?」
「ん?光に会いにきたんやで」
「へ?なんで?」
「まぁ取り合えず、部室入れてくれへん?」
「えっ?あっはい!!」
突然の謙也の訪問にかなり驚いて動揺している様子の財前。
普段クールな財前がここまで動揺しているのを見れるのはそうそうない。
「作戦成功やな。それにしてもびっくりしすぎやで?光」
「そんなん急に来たら誰だって驚くわ…」
部室に入ってさっそく謙也にからかわれてむっと拗ねる。財前の顔が赤くなっているのを見て謙也はたまらず抱きしめる。
「やっぱ光は可愛ええな〜」
「ちょっ急に何!!?」
ここ部室やし!!と財前は抵抗するが謙也の次の一言におとなしくなってしまう。
「光!生まれてきてくれてありがとう!!…………誕生日おめでとう!!」
「どうも…」
ホンマこの人恥ずかしい…と思いながらも満更でもない財前。
2人が部室の中でいちゃついているため入るに入れない部員達が部室前にあふれていたとかいなかったとか。
ありがとう
(キミが生まれた日に感謝)
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