□天使と悪魔4
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その場は、異様な空気が流れていた。何か気まずい。
一同の視線はある物体に注がれていた。


「……ここに集まる必要がどこにある?」


始めに口を開いたのは神。
何故か目が遠くを見ている。


「そりゃぁ、なんていうか、暗黙のルールっていうか、条件反射というか。」


答えのような答えではないことを口にするレノ。


「…そんな事より神、この物体はなんだ」


フェンの手の上に乗っかっている人面オヤジ花を指差し、アルミナが問う。


「花。」


ごく普通のように神は答えた。


「花なのは分かったよ、認めたくなんかないけど…。そんなことより、なんで顔が付いてるのさ!?」

「…進化?」

「なんでそこ疑問形!?あんた神でしょ!?生物の進化にもっと責任持とうよ!」


レノと神で漫才ができそうだ。
突然ウォッホンと咳払いが聞こえ、一同の視線は再びフェンの手の上に乗っかっている物体へ。


「元気そうだな、神よ。」

「あぁ…。」

「美しい方と冴えない少年ははじめましてだな。ワシはアステリアス。」


然り気無く酷いことを言うアステリアス。花にまで貶されると流石にレノも哀れに見えてくる。


「僕、なんか傷付いた…。」


落ち込んだのか、レノは隅っこの方でいじけている。


「…変わりないようだな、アステリアス。」

「うむ。」

「一つ聞いてもいいか?」


アルミナが顎に手をあてて問う。


「アステリアス、といったか?お前は何の花なんだ?」


フェンも実はかなりそこは気になっていた。


「ガーベラ。」


答えたのは何故か神。
そして、アステリアスは何故か胸を張っている。


「スマン神、聞きはぐった。」

「ガーベラだ。」

「…ガーベラ、キク科の多年生観賞植物。タンポポを大きくした形で、多くの花茎を出し、その頂に白・黄・橙・真紅色などの頭状花をつける。」


隅っこで落ち込んでいるレノがいらん知識を披露してくれた。お前はそんなキャラだったのか、とアルミナが思ったことは秘密だ。


「アステリアスさんは、黄色なんですね。」


レノの話を聞いていたらしいフェンがアステリアスに言う。隅っこにいるレノは見えていない。


「神々しい姿であろう。」

「はい、とっても。私タンポポ好きなんですよ。」


フェンとアステリアスのみ、ほんわか和みオーラ全開だ。神とアルミナは完全に白けている


「…フェン。」


和みまくって花を回りに飛ばしているフェンを、神は現実に引き戻した。


「話がある。…二人で話したい。」


フェンは速攻現実に舞い戻り、アステリアスをアルミナに託した。反射的に受け取ったアルミナは、アステリアスがぐるんと振り向いたのを見て、珍しく口元が引きつるのを感じた。


「お美しい方、ワシとしばしお話を。」


問答無用でアルミナはアステリアスをぶん投げた。
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