□天使と悪魔3
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「イイか悪いかは知らないけど、世間一般ではイイこと…なんじゃないかな?」


誰かを好きになったことなど無いからわからない。
それにしても、何故悪魔である自分がこんなことを言わねばならないのか。


「…そうか」

「あ、そうそう、姉さんの事は置いとくとして、フェンはどうするのさ。」


神の眉間に皺が寄る。
これも、彼の悩みの一つに入っているらしい。


「あんたの事、マジラブ〜Vって言ってるよ。」

「…知っている。」


ちょっと遠くを見つめる神。
過去の何かを思い出しているのかもしれないが、別に内容を知りたいとは思わない。
むしろ、知りたくない。
知らない方が、平和に生きていけそうな気がする。


「フェンは……」


神が何かを口にしようとした時、遠くでゴングが鳴り響いた。
どうやら、勝負とやらが終わったらしい。


「フェンが、何?」


レノが問うも、神は何でもないと言うように首を振った。
そして、もと来た道を戻り始める。
気にはなるが、何を言っても答えてくれそうにないので、レノも立ち上がった。

神の後ろ姿を見ると、今度の衣装は宇宙服になっていた。
かなり重いはずなのだが、着ている本人は全く気にしていない。
どうなっているのか気になるが、神だから何でもアリなのだろう。

それにしても、彼はいったい何を言おうとしていたのだろか。
フェンのことらしいが…。


「あぁ、そういえば…」


神がいきなり立ち止まったせいで、レノは神の背中に鼻を思い切りぶつけた。


「…どうした。」


鼻を抑えて蹲るレノに、神が問う。
涙目で睨み付けるも、神は何も理解していないらしい。
僅かに首を傾げた。


「…なんでもないよ。」


赤くなった鼻をさすりつつ、レノは立ち上がる。
鼻はまだ痛い。


「で、何。」

「お前は、フェンが好きなのではないのか?」


何の躊躇いもなく言い放った。
しかも、真顔で。


「エ?ダレがダレをスキって言イイマシタ?」


耳が遠くてさ、とレノは聞き返す。
神は同じ単語を同じ口調でリピートしてくれた。


「ナニイッテルンデスか、そんなワケアリマセンよ。」


完全に棒読みになっているのは気にしないでほしい。
動揺を隠すので精一杯だ。
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