□天使と悪魔2
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案内役のフェンは、よく案内を放棄したのではないかと疑いたくなるくらい、寄り道をした。木の根元に生えている、どう見ても毒キノコにしか見えないキノコを摘み、レノにおやつだと言って食べさせようとし、危険を本能的に感じたレノは逃走をはかったがその前に、無理矢理キノコを口に突っ込まれ、小一時間夢の中にトリップした。
ここが天界であるにも関わらず、危うく天に召されるところだった。


花を見つければ当然摘みに行き、石を蹴ればお約束のように蜂の巣に当たり、蜂にレノが追い掛け回された。
全て、フェンの陰謀のように感じるが、気のせいだろうか…。


「…レノ、随分とヤツレましたね」


誰のせいだと思うが、言わない。
否、言えない。
なんとなく、仕返しをされそうな気がする。
仕返し…。
ふと、何かを思い出す。
本日最初にした飛び蹴り。
もしや、あれの仕返しか。
ザッ、と音を立てて血の気が退いた。
もしもそうなら、自分は無事にここから生還出来るのだろうか。
目の前の天使はかなり根に持つ。
ならば、自分はちょっと遊び感覚、ちょっとイタズラ感覚のものも、彼女は許すまじと思ったかもしれない。
これから会うのは、天界の長。それなら、フェンよりも色々な意味で恐ろしい生き物ではないだろうか。
相手は神だ。
なんだって出来る。
原子レベルにまで分解されて、ミトコンドリアからやり直せって無理言われるかもしれない。
もしかしたら、花粉にされて花粉症のモトにされるかもしれない。
も、もしかしたら、頭文字Gにされるかもしれない。
新聞紙で叩かれるなんて嫌だ。


…という、ちょっとした脅迫観念にレノが捕らわれている時、フェンは鼻歌を歌っていた。
頭の中には花が咲き乱れ、自分の世界を謳歌している。
例え今目の前を黒猫が横切ろうが、カラスに睨まれても彼女は気にもしないだろう。
むしろ、それら全てが自分を祝福しているのだとと言い放つ。
それくらい、フェンは幸せに浸っていた。
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