噺
□天使と悪魔1
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天界のある花畑に、一人の天使がいた。
腰まである金の髪、生気に溢れた青い瞳。
幼さの残るその顔は、綺麗というより可愛らしいと表現が相応しい。天使は花を一輪摘むと、花弁を一枚一枚千切っては捨て、千切っては捨てを繰り返していた。
「好き、嫌い、好き…」
無心に呟く声から察するに、どうやら彼女は花占いをしているらしい。
「好き、嫌い、好き、キラ…」
「フェ〜ン、あっそぼうぜー!」
花占いをしている天使・フェンの後頭部に、悪魔・レノがスクリューキックをかまし、少女が手にしていた花は何処かに飛んでいく。
「痛いです…レノ」
たん瘤ができたであろう頭をさすり、フェンはレノを上目遣いに睨んだ。
黒髪に、赤い瞳。
見たところ、年齢はフェンとたいして変わらないが、実年齢は不明。
そして、美少年。
「遊ぼう、フェン!てか、何やってたの?」
「花占いですよ、…あれ?」
先程まであった花が手の中に無いことに、今頃気付いた。
「『あれ?』じゃないよ。気付くの遅すぎ。」
自分が蹴飛ばしたせいで飛んでいってしまったことは、あえて言わない。
「花占いなんて、何占ってたの?」
「えっと…」
「神サマのこと」
「よくわかりましたね!」
すごいすごい、と手を叩いて喜ぶフェン。
この天使は天然なのではないかと、本気で思う時がある。
「普通にわかるって。」
何度、神に対する愛を語られたことか。
「で、占って結果は出たの?」
「それが、出なかったんです。でも、レノが髪の毛を私に進呈してくれれば、結果は出ると思います」
「ご、ゴメンナサイ…」
フェンは、絶対に根に持つタイプだと、レノは思った…。