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拍手おまけ、シカマル小説。





彼女は嘘をつかない。


何でもさらけ出して、ストレートに伝える。
自分の事も、気持ちも、全て…

けれど一度だけ嘘をついたことがあった。

それでも嬉しかった。
その嘘が無ければ、俺達は始まらなかっただろうから。

『彼氏はいない。』
なんて、普通だったら最低だろう嘘。








「シカマル?考え事?」

ぼーっと窓の外を眺めていたら、後ろから彼女の声。

「いえ、少しぼーっとしていただけです。」

年が四つ上で上忍である彼女に対して、二人でない時には敬語を使っている。

「そうなの。ねぇ、シカマル…」

彼女は俺に近づいて、首に手を回してきた。

「なっ!ここは資料室です!」

「だから?」

「誰かに見つかったら、どうするんですか?」

「大丈夫。みんな任務に出てて、二人だけだから。」

耳元で囁かれ、彼女の長い黒髪が頬に触れる。大人の香りと、白くきめ細かい肌を感じる。
首に手を回したまま、俺の顔を正面から覗き込む。
一重に長い睫毛。薄い唇と高い鼻。
彼女が一層近い。


「今夜、行っていい?」

「え?」

「ふふっ 顔、赤いわよ。」

頬に手を置かれて微笑まれる。

「それじゃあ、また後で…」

俺から離れると髪の毛をそっと耳にかけてそう言い、資料室を出て行った。


今夜は一緒にいられる。

嬉しくなり、任せられた書類の整理に手がつけられない。
彼女のことばかり考えてしまう。



彼女に必要とされているなら、どんな形だっていい。

彼女のそばにいられるなら、なんだってする。

彼女にとって俺がどんな存在であってもかまわない。



一緒にいたい…






―――――――…二人の夜は過ぎていった。
手を伸ばせば届く。
朝になっても消えぬ温もり。堪らなく彼女が愛しい。


太陽の光がカーテンから差し込む。隣の彼女が起きないように、ゆっくりと体を向けてその寝顔を覗き見る。
すると、彼女がゆっくりと目を開けてた。

「ん… シカマル、おはよう。」

彼女は俺の髪に指を絡めて、優しく解く。
そして体を起こすと、俺に背を向けてベッドの縁に腰掛けた。

彼女は上のボタンを二つ開け、白シャツを一枚だけ着ている。だるそうな様子もなく、いつものように髪を耳に掛けた。

「もう、起きるのか?」

できればもう少しだけでも、一緒に寝ていたい。

「えぇ。」

彼女はそう言って少しだけ首を捻り、微笑んだ。
その横顔さえ色っぽい。


「次は、いつ会える?」

彼女がいいなら俺はいつだっていい。
どうか、俺を必要としてくれ。


「この頃、彼の帰りが早いの。私との時間を作るために、任務を早く片付けてるみたい。だから…」

もう会うのをやめよう。
そう言われる気がして、後ろから彼女を抱きしめた。

「聞いてごめん。そっちを優先していいから、だから…」

次の言葉を言わないでくれ…


「バカね。シカマルとの時間もちゃんと作るわよ。」

大人な彼女は俺の気持ちを見透かしてる。
そして、一番欲しい言葉をくれるのだ。

「でも、まだいつに会えるのかは分からない。彼が久しぶりにデートしたいなんて言ってるし…」

彼女の雰囲気が優しくなる。
彼女がヤツを愛する気持ちは本物だ。ただ少しの心の寂しさを俺で埋めているだけ。

それでもいいと思っているが、こういう時、ヤツが羨ましくなる。
俺は彼女と肩を並べて、手を繋いで、堂々とデートなんてできない。


湧き上がってしまう嫉妬と独占欲。
この感情がバレたら、関係は終わってしまう。


「不安?」

腕に手を添えて彼女は問う。上手く隠しているつもりでも、彼女は少しの変化も見逃さない。

「いや。」

これ以上気持ちが伝わらないように体を離し、もう一度ベッドに体を沈める。

「もう、行くね。」

彼女は時計を一見して、身なりを整え始めた。

この時、俺はヤツに彼女を奪われていく気がする。
行かないでくれなんて言えないし、これは俺が望んだことでもある。


けれど、たった一度でいいから伝えてみたい。

どうしようもなく矛盾する想いが溢れ出しそうだ。

伝えてしまえば彼女が困るのも、この関係が壊れるのも分かってる。


えることさえかなわない
(愛してる。本気なんだ。俺にしろよ。ヤツと別れてくれ。)(俺は二番目。)




ここまで読んで頂きありがとうございました\^^/






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