紅く可憐に煌めく銀粉を振り撒いて
蒼く綺麗に脚である翅を羽ばたかせて
其の蝶々は森に迷う
蝶々は進む
小さな炎で大きな森を燃やし尽くせはし無い様に
銀粉を失い乍
蝶々は進む
知が理を越える事は無い様に
枯渇と飢えに殺され掛け乍
蜜を光を求乍
糸で出来た透明のベッド
疲れ果てた蝶々が往き着いた先
其の糸は麻痺藥
美しい軆に纏わり付き放さず
自らの危険を知り逃れ様ともがいても
其の揺れは呼鈴と成り
《此所に居ます》と伝わり
涙する他無く
震える蝶々
口移しで与えられる唾液
むしられる翅
蝶々の思考は止まる
美味成る軆を貪られる刻 思い知る
嗚呼…貴女樣が毒蜘蛛と
わたしをたべないで…
わたしをたべないで…