☆趣味小説(バテン)☆
□『救い救われ生きていく』
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帝国アルファルド、ある1つの屋敷。
まるで金塊の様に宝飾されたその帝国独特の建物は、まるで呼吸でもしているのだろうか…柔らかく、しかし輝かしく瞬いていた。
その建物の前で赤髪の青年は佇んでいた。
「リュード…?」
背後から自分の名前を呼ばれ、リュードは振り返る。
青い空と同化してしまいそうなその髪は、彼特有の美しさだろう。
髪同様、青い瞳で見られ、彼はそのまま歩み寄って来た。
「カラス。」
と呼び返し、リュードは微笑んだ。
「カラス、どうしたんですか?」
「無理に笑うな、馬鹿。」
カラスは呆れた様に近寄って、リュードの頭をコツンッと殴る。
リュードは一瞬瞬きをするが…不機嫌そうなカラスの表情を見るなり苦笑した。
再びもの哀しげに建物の方に向き直る。その屋敷は誰も住んでいないのか、まるで羅生門の如く静まりかえり、むしろ不気味な程だ。
リュードはため息を吐く。
「アルマード…。」
小刻みに震えのある声だった。
カラスはそんなリュードを見てどうしていいか分からず困り顔をする。
リュードの気持ちが分からない訳ではない。
頭を掻いて「んー」と考える。そしてリュードに言った。