Long

□一筋の光
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「新八」
「はい?」

新八が振り返ると、土方がいた。

「なんですか?」
「最近、あいつらとよくいるよな」
「そう…ですか?」

新八は内心ヒヤリとしながらも、何食わぬ顔をして答えた。

「今からどこ行くんだ?」
「売店だよ」
「弁当は?」
「あ…るよ」
「あいつらに頼まれたのか?」
「うん、そうだよ」
「なんでそこまでするんだよ」
「………とも、だちだからだよ」

新八は弱々しく笑って、廊下を走っていった。


「新八、買ってきた?」
「は、はい」
「何これ。2つしかねぇじゃん。俺ら4人なんだけど」
「…………」
「何か言えよ!」
「お金が、なかったんです」
「はぁ?ふざけんな!テメェなめてんのか?」
「ご、ごめんなさい」

男の1人が新八の頭を掴んで、ガンガン揺すった。

「や、めて下さい!」
「じゃあパン買ってこいよ」
「もうないです」
「それ確かめる為に揺すってんだろが」

男はより一層新八の頭を引っ張った。
周りの男達は笑いながら見ていた。

「財布出してみろよ」
「なんでっ…」
「本当にないか確かめるんだよ」

嫌がる新八をよそに、男の1人が新八のポケットから財布を取り出した。

「返して!」

新八を無視して、財布は開かれてしまった。

「何これ、500円入ってんじゃん」
「それは、今日の夜ご飯なんです」
「はぁ?お前なら10円あれば十分だろ」
「そんなっ」

男は財布から500円を抜き取り、財布を逆さまにして振った。
そうすると小銭やサービス券、定期券がパラパラと落ちてきた。

「他ないの?」
「へ?」
「上着、脱げよ」

突然新八が羽織っていた学ランを脱がされた。

「やめて!」
「あ、学ランの中に100円玉みっけぇ」
「まだあるんじゃねぇの?」
「やだ!やめて!」

次はズボンのポケットに手を突っ込まれて、中に入っていたものを全て出された。

「携帯電話みっけぇ」
「か、返して!」
「こんなん持ってる余裕あんならもっと金あるだろ?」
「明日、金持ってこいよ」
「もうないです!」
「じゃ、明日も来いよ」
「……………」
「おい、返事しろよ」
「は、はい…」
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