新八受け

□アイアイ傘
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「何してんだ?新八」
「あ、銀さん」

背中を掴まれて振り返ると、男物の青い傘をさした銀さんがいた。

「スーパーで買い物してるうちに雨降り出しちゃったんですよ」
「結野アナが今日は雨降るって言ってたじゃねぇかよ」
「だってあの番組全然当たらないじゃないですか」
「気ぃ抜いたら当たるんだよ、あれは」
「そうですか?」
「そうだよ」

そう言って傘をとじて、銀さんはスーパーに入ろうとした。

「銀さん?」
「…………何?」
「何を買いに来たんですか?」
「さ、定春のドッグフードがな、無くなっちまってな…」
「銀さん、大丈夫です。今僕が買いましたから」
「……いや、あとシャンプーが」
「詰め替え用ならまだ残ってますよ」
「さ、砂糖をっ」
「今日は賞味期限前で安くなってたシュークリームを買いましたよ」
「だ、だから……え?まじで?」

僕がスーパーの袋から半額札の貼られたシュークリームの箱を見せてみた。

「行く必要はないですよね?」
「ないないない!!!寧ろ帰りたい!」

銀さんはもう一度傘を開いて、道に飛び出した。

「あの銀さん。僕傘持って来てないんで、万事屋に行って、傘を持ってきてくれませんか?」

それまでシュークリームはお預けで、と最後に付け足してみる。
銀さんは一度走り出そうとしたけど、ニッと笑って僕の方を見てきた。

「な、何ですか?」
「新八もこの傘に入って一緒に帰ろうぜ」
「え?」

銀さんはほらっと言って促してきた。

「い、嫌ですよ!」
「もしかして照れてる?」
「違います!野郎2人が相合い傘だなんて気持ち悪いでしょ!」
「そうか?大丈夫だって」

銀さんはそう言うと、僕が手に持っていた荷物を傘を持っている方の手で持って、もう片方の手で僕の肩を引き寄せた。
「銀さん!?」
「照れてたら余計に変だぞ?」
「うっ………」

僕が大人しくなると銀さんは歩き始めた。

「俺としては、勘違いされてもいいけどな」

僕にだけ聞こえる声で囁いた銀さんの声が僕の胸をムズムズさせた。

「勘弁して下さいよ」
「本気だぜ?俺は」

突然目の前が青くなった。

それが傘だと気付いたとき、唇に暖かくって柔らかい感触。

「ぎ、銀さんッ」
「大丈夫だって。傘の中はな、一つの家と同じなんだぜ?」
「そんな丸見えな家があってたまるかァァァァァァ!!!!!!!」

僕は銀さんの傘を取り上げて、全力で走った。

「し、新八!?俺も傘の中に入れてくれよ!」
「嫌です!変な人は家に入れちゃいけないんです」
「何言ってんだよ、俺変な奴じゃねぇし。つーかそれ俺の傘!!」


この後、僕は銀さんとは一度も相合い傘なんてしてません。


おわり
2009 0113

****

作文ンンンンンン!!!!!?

何この終わり方!?
本当は、激甘にする予定だったんだけどな…。
 

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